訪問看護に花は咲く41

母の口癖は「お金がない」でした。その言葉を小さい頃から聞かされていたので、子供ながらに私は、高校へ行ったら両親に迷惑がかかるから「高校行ったらあかんのや」とずっと思っていました。昔から看護師になりたかった私は中学卒業後、准看護師の学校に行きました。国立療養所だったのでお金は余りかかりませんでした。卒業後、京都に出てきて働きながら定時制高校に4年間通いました。17歳で准看護師になった事と都会に初めて出てきたのでとても戸惑いました。まず、言葉の壁、仕事に慣れる事、人に慣れる事「私大変な道を選んじゃったんや」ホームシックになり何度も田舎に帰りたいと思いました。なんとか仕事にも京都にもなれ無事高校も卒業できました。卒業後は進学コースに進みました。2年生までは学業だけだったので順調でした。ところが3年生になり実習が始まり、記録がかけず人前で発表することが殆んどでした。人前で話すのは唯一私の苦手とするところでした。とうとう夏に学校を辞めてしまいました。辞めた後はこれで楽になれたと思っていました。その後結婚し子供も二歳になったので再就職しました。小さい診療所でしたがまわりは看護師ばかりでした。看護に対する考え方も仕事の内容も高度になっており、皆についていくのに必死でした。実習に行っていた頃の夢を何度もみました。この時もう一度進学コースに行きたいと思うようになり時間があれば勉強していました。翌年、念願叶って学校に行ける事になりました。若い頃と違って久しぶりの勉強は楽しく実習も乗り越えられました。

頑張れば夢は大抵叶う、人生に無駄な物なんて何一つないと思えるようになりました。今訪問看護師をしていて思うのはこの仕事は看護師として1人の人間として成長していける仕事だと思っています。まだまだ足りないところばかりですがこれからも頑張っていこうと思っています。