寄り添うこと・・・(43)

介護保険制度のまたもの改悪に遭遇

比叡山ガーデンミュージアムにて

知らない間になんでも通る国会~改正介護保険法が今国会で成立~

ケアマネジャーになって15年。子供は巣立ち、いつしか自分も親を介護する年齢になりました。介護保険法第一条では、介護が必要な状態になっても尊厳を保持し、能力に応じ自立した生活を営めるよう必要な給付を行うことが掲げられています。この大原則に反するような改定がこの15年間粛々と進められてきました。そして今「改正介護保険法」が衆議院で自民、公明、日本維新の会などの賛成多数で可決され、参議院での審議を経て成立する見通しです。

どこまで切り捨てたら気が済むの?~法案の柱とその内容~

法案は「地域包括ケアシステムの推進」と「介護保険制度の持続可能性の確保」の観点のもと、以下の5つを柱にしています。
1. 自立支援・重度化防止に向けた保険者機能の強化
2. 医療・介護の連携
3. 地域共生社会の実現
4. 現役並み所得者の負担割合を3割(2018年8月から施行予定)
5. 介護納付金への総報酬割の導入(2017年8月から段階的に導入)
「自立支援・重度化防止」というのは聞こえが良いでしょうが、そのための給付適正化(給付抑制)に向けた施策や目標を市町村に作らせ、その達成状況に応じて国が交付金を支給するしくみのことを指します。言い換えれば財政優遇(インセンティブ)による市町村への給付抑制の押し付けです。大阪の大東市(人口12万人)では、すでに「自立支援」に名を借りた介護サービスからの「卒業」を強要し、必要なサービスを削られる深刻な状況が生まれていることが報道されました。(2017年5月11日しんぶん赤旗)誰もが人の手を借りずに、自立した生活を営みたいと願っています。しかしその気持ちを逆手にとって、私たちにとって一番身近な自治体に、給付費削減を競わせるような制度、介護度が下がればサービスが使えない、あるいは制限されるような制度に作り変えることは、介護保険法の目的に照らしても許されることではありません。
私自身が15年前とは違う衰えを感じ、先行きに不安が募る毎日です。高齢になるとなおさらのことだと思います。しかし脳は死ぬまで発達するとも聞くのです。いろんなことに興味を持ち、学び、現実を直視しながらも諦めない力、声に出す力を発揮できたら、或いは私たちがその力を借りてもっともっと発信していけたら、制度は良くなるし世の中も良くなるのではないかと思うのです。