寄り添うこと・・・(72)

8月のブログで介護保険の改正点についての概要をお知らせしました。今回は「軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方」について詳しくみていきましょう。

ここで「軽度者」と呼ばれているのは、「要介護1と2」の認定を受けた人たちです。
現在、社会保障審議会ではこの要介護1と2の認定を受けた人たちの「生活援助サービス等」を介護保険から切り離し「総合事業」へ移行することが検討されています。総合事業とは市区町村が運営する事業です。京都市では既に要支援1と2の訪問介護と通所介護は2017年4月より総合事業へ移行されていますが、従来より事業所の基準を緩和し報酬が低く設定されているため、要支援者の支援から撤退する事業所も相次ぎ、医師の診断を経ないままのサービススタートとなることへ事業所側からも不安の声が上がっています。
今後の対応策としては、短時間研修(8時間程度!?)で養成された生活援助ヘルパーや有償ボランティアなどが担当する、安価な「多様なサービス」に移行することが期待されていますが、全国の市区町村の約7割は、その「多様なサービス」をつくることができない状態にあるそうです。

皆さん、要介護認定を受けられる原因の一番はどのような疾病かご存知でしょうか。
要介護状態になる原因のトップは「認知症」です。認知症状が重症化しないためには早い段階での専門職による適切なサポート(生活支援)が必要です。ヘルパーさんは単に買い物や掃除の支援をしているわけではありません。同じ物ばかり注文していないか、冷蔵庫の中に賞味期限切れの食品が溢れていないか、最近探し物が増えていないか、足腰の痛みはどうか、家の中で転倒リスクが高い場所はないか、専門職の目で心身状態を観察しケアマネジャーへ気付きを報告してくれます。その視点こそがボランティアなどの支援には替えられないヘルパーによる生活支援の専門性です。

介護保険料ばかりが右肩上がりで、介護保険で使えるサービスはどんどん縮小。「保険あって介護なし」が現実のものとなることを痛感させられる検討内容です。