寄り添うこと・・・(86)

厚生労働白書 令和2年版を読んで思うこと

「厚生労働白書」は、厚生労働行政の現状や今後の見通しなどについて、広く国民に伝えることを目的にとりまとめており、平成30年版は、平成13年(2001年)の「厚生労働白書」発刊から数えて18冊目となります。

平成の30年間で、三世代世帯が約4割から約1割に減少するなど、世帯構造は大きく変化 。「日頃のちょっとした手助けが得られない」や「介護や看病で頼れる人がいない」など、 生活の支えが必要と思われる高齢者世帯は、過去25年間で3.5倍程度増加。今後25年間でさらに1.5倍程度増える見込み。更には、2040年、就業者の約5人に1人が医療福祉分野で必要に。需給両面の改革が必要とも書いてあります。

コロナの影響で、2020年1-10月の「老人福祉・介護事業」倒産は、すでに104件(前年同期比10.6%増)に達し、このままでは年間最多の111件(2017年と2019年)を上回ることがほぼ確実とされています。倒産だけでなく、休廃業・解散は、倒産を上回る勢いで増えており、2020年1-8月で313件(速報値、前年同期比19.0%増)に達し、年間最多を記録した2018年の445件を上回る勢いです。

2021年の介護報酬改定では全体で0.7 %のプラス改定が決定されましたが、果たしてこの程度の小幅改定でコロナ禍における介護福祉事業の継続が盤石と言えるのでしょうか。
福祉業界の平均年収は全産業の平均年収から100万以上は下回るとの調査報告もあります。
制度の締め付けも多く、こんな状況で介護の担い手が必要数まで増えるのでしょうか。
更にはコロナの影響で地域の居場所や繋がりまでも破綻しており、地域共生社会の構想にも影を生んでいます。介護に従事する私たちも政策の動向に目を向け、利用者様やご家族、私たち自身の将来のためにも意見を述べなければならない責任があると痛感しています。

↑介護ウェーブより