寄り添うこと・・・(16)

12-13年前に母親が亡くなり、一人暮らしになった父親が急に認知症が進行し、徘徊を繰り返し、警察で保護されて夜中に迎えに行くことも度々ありました。迎えにいくと、不安げな表情の父親の顔…今でも辛い気持ちになったことを覚えています。その頃は、父親の喘息発作も頻繁に起こる状況でした。
しばらくして特養入所が決まり、はじめは新しい環境に慣れるのか心配していましたが、もともと明るい性格で他の利用者とも馴染みとなり、3年経った今では「お前(私)のとこに行きたいが、友人が寂しがるのでいけない」と私の家にもなかなか来て貰えないほどです。

父親の趣味は、野球観戦、買物。好きなものはビールと魚です。施設の職員は、色々な趣味や嗜好品など聞き取りをし、父親の望んでいることを一つ一つ実現させてくれています。野球観戦にはお弁当を持って西京極球場へ、買物にはショッピングモールへ外出、そして魚定食を食べにランチへ。ビールに関しては、敬老会などのイベント時に、ノンアルコールビールで乾杯!しています。

「寄り添うこと」もちろん私達、在宅のケアマネジャーも心がけて接していますが、施設では在宅とまた違った毎日の生活に直面した寄り添い方があるのだと、父親を通じて感じました。
入所時、父親の喘息発作時用に準備された酸素は、3年間、1度も使用されることなく部屋の片隅に置かれています。病状の安定、父親の笑顔、どれだけ精神的に安定しているのかと感謝しています。
「寄り添うこと」の大切さを学ばせて頂いています。私もケアマネジャーとして、その人その人の思いを大切にした支援を行っていこうと思います。