寄り添うこと・・・(98)

 「ご存知ですか?“ヤングケアラー”」

「ヤングケアラー」の割合が、中学生の約17人に1人にあたる5.7%にのぼることが2021年4月12日、厚生労働省が公表した調査結果より明らかになっています。
私自身も過去に男子中学生が学業と介護を両立しているケースを受け持ったことがあります。彼は介護認定を受けている父と二人暮らしで長年の習慣もあるからか主介護者でありながらも悲観的な訴えはほとんどなかったことを憶えています。家事や介護負担を減らすことができるようサポートしていましたが、それでも彼の担う役割の時間的拘束は否めません。
“介護をしている=かわいそうなこと”とは思いませんが、友人と遊ぶ時間をもてているのだろうか、部活などの活動に参加できず青春を謳歌できているのだろうか、価値観は様々ですが、彼が今後どのような人生を歩むのか私としては心配でなりません。
ヤングケアラーという言葉の認知度や当事者の自覚はまだまだ低いとの結果もあります。私たち周囲の大人がヤングケアラーをどのようにサポートしていくべきか多機関での検討が必要と思います。2021年7月中旬から8月下旬に、京都市内の市立中学校・高等学校の全生徒を対象としてヤングケアラーの実態調査を京都市が実施しています。集計結果の発表時期は未定ですが、少しでも多くの人が関心をもって頂ければと願います。

寄り添うこと・・・(97)

 「性別選択の自由から感じたこと」

お気付きのご利用者様、事業所の方もおられるかと思いますが・・・
この度、葵会居宅のユニフォームを製作しました。葵会のシンボルマークをプリントする箇所や服の色をメンバー皆で相談しながら決めました。あれやこれや・・・と話をするなかで、男性職員と女性職員で色を分けて統一する案も出ましたが、その後すぐ、「でも、これって今のご時世から考えると、古い考えなのかな・・?」という意見が・・・。今では、小学生のランドセルの色も男女関係なく様々なカラー選択、中学生の制服も女子がズボンを選択できるようになりました。自身の性別に違和感を抱くこと、同性同士の恋愛を自然な形で公表すること、そのことを隠すこと自体が「昔の考え」として新しい考え方へと変化しています。
日常生活のなかでの些細な気付きではありましたが、私たちの仕事は、「人と人との関わり」を大切にする仕事です。利用者様や支援者同士との関わり、そのなかでも、男女という性別の枠、個人の価値観や固定概念にとらわれることなく、関わることの大切さを気付かせてくれる出来事となりました。

最終、各々に好きなカラーを選択し、昔の戦隊ヒーローを連想させるようなユニフォームになりました。事務所内で、メンバー皆がカラフルなユニフォームを着ている光景をみて、私は嬉しさを感じています。次は、冬用を製作中です。お楽しみに・・・

「大好きな散歩道にて・・・」

寄り添うこと・・・(96)

先日一人の利用者さんが逝った

利用者さんのお母さんのケアマネでもあったことから、付き合いは約5年ほどになる。
お母さんを送り、自身の生活を立て直し就労に舵を切った矢先に体調の変化があり入院、病気がわかった。癌だった。いつも強がった口調で、助言をしても自身の尺度があって、すんなり受け入れる事はなかった。
特に、家の片づけは嫌がった。広告物や菓子の袋等部屋中に山積みとなっていた。一緒に片付けようと言ってくれる支援者の言葉に「探し物があるんや」「自分できちんと見て片付けるからかまへん」と返してきた。
自身の病気については知りたい気持ちと、はっきり言われると絶望したり、自身の死期については「母親の命日迄」「親父の命日迄」「俺の誕生日迄」最後は「息子の誕生日迄」だった。
最期は病院で迎えることも選択肢として提案があったが、「ここ(自宅)で過ごす」と譲らなかった。
ケアマネ支援としては、終末期を自宅で迎える事を想定して、通常は月1回のモニタリング訪問を週1回から10日に1回は訪問した。週3日の医療管理に週1回の訪問看護、訪問介護は週2回から毎日に増やした。「自分で買い物に行きたい」「銀行にも行きたい」と口にすれば車いすの貸与も開始した。これらのサービスを位置付けるにあたっては、通常アセスメントをして担当者会議を経てサービスが開始されるが、「ターミナル(終末期)」であること、医師と関係者が今後起こりうることに対してサービスを迅速、柔軟に利用する事が出来ることは利点であった。
この一連のケアマネ支援に対しての評価として、「ターミナルケアマネジメント加算」が算定できる。ターミナルケアマネジメント加算取得の為に頻回に訪問するわけではないが、亡くなった時「いつといつ訪問したかな?」と考えたのは確かだった。
「ターミナルケアマネージメント加算」の算定は葵会の居宅では頻回にある事ではない。
最期を過ごす場所は自分で選んで、逝く事が出来るようケアマネとして今後も支援していきたい。

私の癒し