寄り添うこと・・・(57)

連日、暑さが続いています。京都は特に暑いと言われますが、理由として、四方が山に囲まれた盆地であるがゆえ、風が通らないことが挙げられます。特に南部はすっぽりと囲まれています。この時期になると、熱中症対策など気を付けていかなければなりません。こまめな水分補給を心がけてください。

先日、認知症の研修に参加し、ケアマネブログのタイトルにあるような、まさしく「寄り添う事」を学んできました。「寄り添う」と一言に言ってもなかなか難しいことと思いますが、まず、認知症の方本人の視点から考えていくことから始まります。

「今まで何をしていたのか、これから何をするのかわからない」「周囲の人から色々言われるが身に覚えのない」「目の前からどんどん物が無くなる気がする」など、認知症の方の立場に立って状況を想像してみると、とても不安な気持ちになることがよくわかります。

一方で、認知症の方を介護する家族の立場になると「会うたびに変わっていく親の姿」「会っても、自分のことを忘れている」「外に出てしまうので目が離せないため、自分の生活ペースがくずれていく」など、本当に大変な状況がわかります。

認知症になったから何もできない、何も決められないと思いがちですがその人本人が、今出来る事、家族が今出来る事、出来ない事など、担当のケアマネジャーと一緒に考えていき、本人が望む生活を支えていけるよう話し合っていきましょう。

「寄り添う事」とは担当させて頂いている本人は勿論のこと、家族の方にも「寄り添う事」が大切だと思っています。些細なことでも一緒に考えていけるケアマネジャーであり続けたいと思っています。

寄り添うこと・・・(56)

老いはどこから・・・

梅雨の瞬きの青空
夏に向かってゆく季節ではありますが、さわやかな風は秋を感じさせる今日この頃です。
秋と言えばなかなかにものさみしさを感じさせます。
人間の老いにも似た季節です。

私自身のことですが、最近は視覚、聴覚が鈍くなってきたのを感じます。たちまちに「前とはちょっと違う」という違和感を感じるようになりました。
大勢で話していると、聞き漏らすことが増えてきました。もともと近視で、遠くの景色はぼやけていましたが、ついでに近くのものまでぼやけてきました。以前と比べるとコミュニケーションがスムーズにいかないことが増え、生活のしづらさを少しだけ感じるようになりました。

年を経るということは、人間にとって当たり前の営みの結果でもあるのですが、マイナス思考に走ってしまうのはなぜでしょうか。若くても、小さくても、生きづらさは誰もが抱えている問題です。高齢になればなるほど身体的なハンディを抱えて、それが生きづらさにつながっているとしたら、ちょっとした手助けがあればどんなに自立した、尊厳のある暮らしが続けられるでしょうか。

生活援助や通所介護(デイサービス)、福祉用具貸与(歩行器や手すり)などのいわゆる福祉系サービスは、老いと向き合ったとき、ちょっとした手助けをしてくれるなくてはならないサービスだと思います。
国は「自立支援」をうたい文句に、介護サービスの中でも、とりわけ福祉系のサービスの報酬を下げ、いずれ介護保険から外すことを考えているようです。重度の寝たきりにならないとサービスが使えないのは本末転倒です。病気も早期発見、介護も早期対応がとても大切だと思うのです。

高齢者の方々の支援に関わって、これまでの長い歴史を理解することと合わせて、これからの未来をどう描くのかということを考えるようになりました。「最後」ではなく、「これから」、「終末」ではなく「未来」。生きている限り自分の明日をどんなに価値あるものにしていくのか。
一緒に考え、見つけていけるサポーターでありたいと思う今日このころです。これも私の「老い」のなせる業でしょうか。

寄り添うこと・・・(55)

汗ばむ季節になりました。光熱費削減が至上命令の当事業所に於いても、ついついエアコンのスイッチに手が伸びる事が多くなってきています。

暑くなりだすと、私共のような御高齢の方を相手に仕事をする者がおのずと気になるのが熱中症対策です。

東京消防庁のデータによると、80歳代の方が熱中症で救急搬送される数は、60歳代の約2倍になるそうです。年齢を経るごとに、加齢や疾患による体温調整機能の低下等から搬送率が高くなるのは当然であると思いますが、それだけではなく、高齢者特有の生活習慣や水分の取り方なども大きな要因にあるようです。

まずエアコンをなかなか使おうとしない事があげられます。限られた年金や貯蓄頼みで生活する高齢者が電気代を節約する為にエアコンを使わないというのはよく聞かれる話です。認知症を患う方がエアコンを操作できず、窓を開ける事もできずにいた、というケースもあります。
暑い部屋の中、夜間不眠による昼夜逆転や薬の副作用などによってウトウトしてしまい、気付かないまま脱水状態となって意識混濁に陥るという事もあるでしょう。

トイレが近くなるので水分を摂りたくない、という訴えもよく聞かれます。

嚥下機能が低下してむせる事が多くなり水分を避けるようになる。手指機能の低下によってコップに水を注ぐ、コップを持つ動作が辛くなる。感覚の鈍麻から、そもそも喉の渇きを感じにくい…。様々な理由から日常的に水分を摂る習慣から遠ざかってしまいます。

しかし、少しの工夫や手助けで解決や代替策を講じ得る事もあると思います。
エアコンの電気代節約やスイッチのON/OFFは、設定温度やタイマーを上手く使う。
水分でむせるならトロミ材を活用する。軽くて飲みやすいコップやストローを使う。喉が渇いていなくても、決まったタイミングで少しずつでも水分を摂るよう習慣を付ける…。

もし周りに熱中症のリスクが高くて心配な方がおられるなら、ゆっくり時間をとってその方と麦茶の一杯でもご一緒してみては如何でしょうか。飲むしぐさや会話の中から、その方に合った予防方法を見つけてあげられるかもしれません。たとえ見つからなかったとしても、とりあえずコップ一杯分の水分確保をお手伝いする事になります。