寄り添うこと・・・(51)

2018年になり、はや1ヶ月がすぎました。本当に月日が経つのは早いものです。
利用者、家族の方には昨年に「2018年は医療と介護のダブル改定があります」とお伝えしていました。今年になり「介護保険について、携帯や、パソコンでみたけど難しくて…簡単にわかりやすく説明してほしい」という声がありました。今回の介護保険制度の改定について利用料の3割負担、新サービスの創設についてお知らせします。

【自己負担額の見直し】

3割負担の導入  2018年8月~

一部のサービス利用者の自己負担額を2割から3割に引き上げ、月額44000円の負担上限の設定。
2割負担の人のうち「特に所得の高い層」の負担割合が3割となります。単身世帯で年金収入+その他の所得ベースが340万以上(年金収入のみの場合は344万円以上)に相当します。

高額介護サービス費の変更 (変更済みとなっている)

介護サービス利用者負担には月々の上限額が設定されています。
「高額介護サービス費」とは1ヶ月に支払った利用者負担の合計が上限を超えた場合に超えた分が払い戻される制度です。世帯のどなたかが市区町村民税を課税されている人の上限は37000円でしたが、月44000円に変更になります。

【介護医療院の創設】

介護療養病床の医療機能を維持し生活施設としての機能を兼ね備えた施設である。
介護療養型医療施設が持つ「医療」「介護」「生活援助」に加え「住まい」の機能を持った長期療養を目的とした施設であり、在宅復帰を目指すことが主目的の施設ではない点には留意が必要となります。長期療養を支える観点から、日中だけでなく夜間に必要な医療を提供できることが重要です。

【共生型サービス】

H30年4月から介護保険と障害福祉の両制度に新しく「共生型サービス」が位置付けられます。
高齢者と障害児者が同一の事業所でサービスを受けやすくすることを目的とされています。障害福祉サービスを利用してた方が高齢になり、介護保険サービスに移行する際に事業所を変えざるを得ない場合もあり、不便さの解消とされています。

【福祉用具貸与費の見直し】

事業所ごとに貸与料が異なっていましたが、国が商品ごとに全国平均の貸与価格公表することになります。
介護保険法の3年ごとの改定で、利用者、家族の方の負担が増大してっている現状住み慣れた地域で安心して暮らせる制度にしていきたいものです。今後も介護保険制度の改善、社会保障の充実など、利用者・家族の方と一緒に声を上げていかなければならないと思っています。

寄り添うこと・・・(50)

新年が明けました。
今年は戌年、穏やかな1年であるように願うばかりです。
1月1日に誕生日を迎える母親も戌年の84歳。要支援の認定を受けて、週1回ヘルパーさんに来てもらいながら、一人暮らしを続けています。近隣に姉が住み、日常的なこまごました用事を請け負ってくれています。姉は申年で犬猿の仲と言われますが、結構仲良く付き合っています。

昨年から要支援者の介護保険サービスは、自治体の総合事業に移行しましたが、今のところ変わりなくサービスの利用を受けています。一部の自治体の総合事業において、サービスからの無理な「卒業」が強いられているとも聞きます。近所付き合いもあり、認知症もない母にとって、ヘルパーさんの生活援助はなくてはならないサービスの一つです。出来るだけ住み慣れた自宅で、必要なサービスを利用して過ごしてほしいと願っています。

さて、昨年12月18日、介護報酬改定は0.54%の引き上げが決まりました。前回(2015年)の改定は過去最大級となる2.27%の引き下げで、介護事業所の倒産や廃業が相次ぎました。その解決には程遠い引き上げ幅であると同時に、生活援助の利用制限や大規模通所介護事業所の基本報酬の引き下げなど、利用者・家族、事業所や私たち介護従事者にとって、新たな矛盾をもたらすものとなっています。

「生活援助の利用制限」は、掃除や洗濯などの生活援助中心型サービスについて基準を超える訪問介護を行う場合、ケアマネジャーが市町村にケアプランを届け出ることとし、地域ケア会議の開催等で検証を行うこととしました。基準を越える利用回数とは、要介護2で月33回、要介護3で42回等とし、生活援助利用の約2万4千人が対象となるとしています。介護を必要とする高齢者は、様々な病気を持ち、家族背景や住宅環境は千差万別です。一律的な基準に当てはめて回数を制限することは、個別性や特殊性を無視したものであり、高齢者のこれまでの生活の継続に大きな支障をもたらすものです。
お金のあるなしで必要な医療や介護が差別されない、人権が守られる社会づくりが必要だと痛切に感じます。身近なこの地域で、無差別平等の地域包括ケアを実践するためにも、介護報酬の引き上げとともに、介護保険法の趣旨に沿った支援が出来るように、今年も介護ウェーブに取り組む決意です。
*「介護保険制度の改善、介護報酬の引き上げ、介護従事者の処遇改善と確保を求める署名」は、法人全体で2000筆を越えました。この署名を国会に届けます。

2017年11月12日四条河原町で介護ウェーブ宣伝にとりくみました。

寄り添うこと・・・(49)

介護保険

介護保険は国家的詐欺。一見強すぎる表現であると感じますが、介護保険制度の生みの親とも言われている元官僚の言葉を抜粋したものです。
「保険料を納めた人には平等に給付を行うのが保険制度の大前提。しかし、要支援者の介護サービスを市町村に移し替えたり、給付額に資産用件を導入することは保険制度からいえば筋違い。特に団塊の世代にとって現在の介護保険制度は国家的詐欺になりつつあるように思えてならない。」
介護保険の生みの親とまで言われた人が、今日の介護保険を「国家的な詐欺」と表したことの意味はとても大きいと思います。40歳以上の全国民から徴収されている保険料ですが、開始当初の全国平均は2075円。2017年現在は40~65歳で5642円(公務員or会社員の平均)、65歳以上は5514円まで跳ね上がっています。
このまま介護保険改悪が続けば、団塊の世代が後期高齢者となる2025年には、要介護3以上でないと保険給付は受けられず、全ての利用者が2割負担となり、一定の預貯金があれば3割以上の負担を強いられかねません。徴収される介護保険料はさらに上がりますが、介護人材は今以上に不足して介護基盤は崩壊…という未来になりかねません。
危惧し嘆くだけでなくだけでは、残念ながら何も変わりません。私たちは、このまま全てを受け入れて不安な老後を迎えるのか、NO!と声を上げて立ち上がるのか、歴史の岐路に立っています。

11月12日に河原町で宣伝を行いました。