寄り添うこと・・・(33)

平成28年8月以降の介護保険負担限度額認定証の変更について

介護保健施設に入所やショートステイを利用する場合、食費・居住費の負担を軽減するために、所得に応じて「負担限度額認定証」が交付されます。その所得の基準が今年8月から変更になります。

第2段階は、『市民税世帯非課税で、合計所得金額と課税年金収入額の合計が80万円以下の方』だったのが、『市民税世帯非課税で、合計所得金額と課税年金収入額と非課税年金収入の合計が80万円以下の方』になります。今まで含まれていなかった、遺族年金や障害年金が収入に含まれるため、所得の基準が上がり第3段階(市民税世帯非課税の方)になる方があります。

食費 ユニット型個室 従来型個室(特養) 従来型個室(老健)
第2段階 12000円/月 25000円/月 13000円/月 15000円/月
第3段階 20000円/月 40000円/月 25000円/月 40000円/月

この表のように、第2段階から第3段階になると、食費と居住費合わせて、月に2万円~3万3千円の負担増になります。(多床室の負担は変わりません)
昨年8月から、負担限度額認定に資産の提示が必要になったところで、だんだん減額を受けるための門が狭くなっていきます。
家族が施設に入ったとしても、家に残った家族が生活に困らないよう、これ以上の負担増は許せません。財務省の見解では、65~74歳は2割負担にしようと検討しており、利用料が払えないために利用を控え、寝たきりになったり命を縮めてしまう世の中になっていかないよう、みんなの声を届けていきましょう。

寄り添うこと・・・(33)

日本社会への警鐘 -「老後破産」問題の解決を-

05c政府筋の情報では高齢者はお金持ちということになっていますが、本当なのでしょうか。全世帯のうち約16%が一人世帯で、所得は約120万円で、相対的貧困層といわれています。相対的貧困率は65歳以上になると22%、そのうち男性一人世帯は38%、女性一人世帯では52%と半分以上に増加します。多くの高齢者が「老後破産」の危機に直面しているのが現実です。

デンマークは日本やアメリカと同じ資本主義、自由主義経済の国ですが、医療介護教育など社会保障制度のあり方は大きく異なっています。医療介護教育など社会保障制度の柱は原則無料です。デンマーク国民は医療カードを示せばEU圏内のどこでも無料で医療が受けられるとのこと。もちろん財源は税金で日本より高いのも事実です。しかし、様々な制度を通じて国民生活がしっかりと支えられ、納めた税金に対して社会保障給付が明確なため、高い税金にも国民の理解が得られているのでしょう。国政選挙の投票率は8割超ということですから、日本の2倍くらいの割合で国民が意思表示をして、政策を支持していることになります。日本の経済力があれば、かなり近いことが、あるいはそれ以上のことができるのではないでしょうか。

自分自身が60歳を間直に控え、日本社会で老後を迎えることの大変さを考えさせられます。相談活動を通じて、高齢者の生活は余裕のない状態におかれていることを実感します。 病気やケガで医療介護費用が増えると、年金では足りず、蓄えを取り崩し、生活に困窮する事例は珍しくありません。今年の7月は参議院選挙です。主権者として税金の使い道をしっかりと確かめ、未来を託す意思表示をしたいと思います。

寄り添うこと・・・(32)

厚生労働省は社会保障費抑制の為、200万人に上る要介護1要介護2の高齢者に対するサービス切捨てなど、制度大改悪を検討項目に上げています
主な内容は
・要介護度が低い人の生活支援 福祉用具貸与をはじめ、手すりなどの住宅改
 修を保険給付から外す
・サービス利用料を1割負担から2割負担に拡大する
・保険料支払い年齢を「40歳以下」に引き下げる
・利用料の自己負担上限を引き上げる
・現役世代の保険料を引き上げる
など、2018年度の介護保険制度改革で改悪を目指しています。
「軽度者」の ものさしは何処にあるのでしょうか?
果たして「要介護1」「要介護2」は軽度者なのでしょうか?

例えば軽度者と言われる人にとって「てすり」や「段差解消」などの住宅改修は、転倒のリスクを減らすことで重度化を予防できます。
また、他人の手を借りずに自宅内を移動したり、排泄が出来たりと自立した生活が送れるのです。
利用料・保険料は引き上げ、給付は引き下げ、「介護の社会化や自立支援」といった制度の根幹は何処に行ってしまったのでしょうか?
ついつい自分の老後は一体どんな介護保険制度になっているのかと、憂鬱になってしまいます。忘れることが上手な私ですが、こればっかりは怒りに変えて、皆さんと声をあげていきたいと思います。