寄り添うこと・・・(32)

厚生労働省は社会保障費抑制の為、200万人に上る要介護1要介護2の高齢者に対するサービス切捨てなど、制度大改悪を検討項目に上げています
主な内容は
・要介護度が低い人の生活支援 福祉用具貸与をはじめ、手すりなどの住宅改
 修を保険給付から外す
・サービス利用料を1割負担から2割負担に拡大する
・保険料支払い年齢を「40歳以下」に引き下げる
・利用料の自己負担上限を引き上げる
・現役世代の保険料を引き上げる
など、2018年度の介護保険制度改革で改悪を目指しています。
「軽度者」の ものさしは何処にあるのでしょうか?
果たして「要介護1」「要介護2」は軽度者なのでしょうか?

例えば軽度者と言われる人にとって「てすり」や「段差解消」などの住宅改修は、転倒のリスクを減らすことで重度化を予防できます。
また、他人の手を借りずに自宅内を移動したり、排泄が出来たりと自立した生活が送れるのです。
利用料・保険料は引き上げ、給付は引き下げ、「介護の社会化や自立支援」といった制度の根幹は何処に行ってしまったのでしょうか?
ついつい自分の老後は一体どんな介護保険制度になっているのかと、憂鬱になってしまいます。忘れることが上手な私ですが、こればっかりは怒りに変えて、皆さんと声をあげていきたいと思います。

寄り添うこと・・・(31)

要介護1、2のサービス見直しの恐れ

厚生労働省は、要介護1~2の方が受ける生活援助サービスを、原則自己負担へと見直す方針を検討しています。介護保険財政の公費支出をおさえるために、介護サービスの締め付けは益々酷くなるばかりです。消費税増税は何のためだったのでしょうか。

ヘルパーの生活援助とは、買い物や掃除、洗濯など、まさに人間らしい「生活」を営むために欠かせない支援です。足が不自由なため買い物へ行けない一人暮らしのAさん(要介護1)。週2回ヘルパーが買い物へ行くことで食べ物が確保出来ていますが、全額自費になったら10倍の利用料です。週2回1時間の生活援助は、1ヶ月で約2000円、自費になれば20000円となります。毎月ギリギリの生活をしていたAさん。ヘルパーの買い物を続けられるのでしょうか。

要介護1~2への生活援助サービスを外すことで確実に大きな影響を受けるのが、家族です。高齢の両親と別居していても、ヘルパーの援助を受けることで仕事を辞めずに済んでいた人もいます。介護給付から外されると、家族が介護をせざるを得ず、離職を選ぶことになるかもしれません。施設入所を考えたとしても、2015年の介護保険改定で、特例の事情がない限り特別養護老人ホームは要介護3以上の方しか申し込みが出来なくなりました。

国は介護離職者ゼロを目指すという方針を掲げていますが、やっていることはその逆で、高齢者と家族に負担を強いるばかりです。国が担う比重を減らし、家族の助け合いや自己責任を強調する構想に、弱者や低所得者が今以上に社会保障から排除されることのないよう、より一層声を上げていく必要があります。

寄り添うこと・・・(30)

um3三寒四温で、徐々にではありますが春に近づいているように思います。歩いていると背中はぽかぽか、青い空が目に染みる季節です。
私たちケアマネジャーはたえず経営の厳しさと対峙している職場ですが、昨年の介護報酬の改定のあおりを受け、通所介護(デイサービス)事業所の経営はとりわけ厳しさが増しています。併設しているデイサービスも他人事ではありません。

私たちの事業所は今年の1月、北区にある介護事業所を訪問しました。訪問先の事業所からは共通して「収益が下がって経営が大変」「募集しても人も集まらず、運営するのが大変」「手厚い介護をしたいが、人が足らず介護の質が低下している」と苦渋に満ちた発言が多くありました。収益が伸びないために、処遇も抜本的に改善出来ず、低い給料できつい仕事の為か、介護職員も募集をかけても応募がない実態が明らかになりました。

また入所施設では、「利用料の2割負担だけではなく、(補足給付の厳格化で)部屋代や食費が上がり、利用者さんが大変な状況になっている」と言われていました。
お金のあるなしで介護保険のサービス利用を控えなければならない現実や、介護の現場で一生懸命働いている職員の生活苦、十分な介護が出来ない悩みは深刻です。
川崎市で起きた高齢者施設での痛ましい事件は許されるものではありません。しかし高齢者の方々の暮らしを支える介護は尊い仕事であり、なくてはならないものです。介護を受けている方にも、介護を提供しているものにも、十分な保障がされる社会をつくっていかなければならないと感じます。
私たち介護現場にも、暖かな春の日差しが届く日を願って、皆さんと一緒に声をあげていきたいと思います。