寄り添うこと・・・(29)

c-16-1めでたく定年退職を迎えて・・・
ケアマネジャーになった当初は、出来る限り寄り添って困っている事を解決できるようにしてあげよう!とご本人、ご家族の言葉に耳を傾けていた時期が懐かしく思える今日この頃です。
繰り返し改悪された介護保険制度で、一番身近な支援者であるヘルパーさんのサービス提供が時間短縮・同居家族の家事制限などで、とても満足の行く在宅介護と言えなくなってしまった事を残念に思っています。
当初は、作業しながら少しはヘルパーさんと会話を楽しんだけれど、最近は会話する事もなく時間に追われていると、利用者さんからよく聞く言葉で自宅の状況が浮かんできます。
年を取って体力の衰えを認めざるを得なくなった残りの人生を、少しでも温かみのある支援が受けられないものか!と考えさせられる事が多くなって来たように思います。

過重な介護は不要と思うけれど、必要な介護や医療がお金のあるなしで左右される現在の社会保障制度に大きな問題があるとつくづく感じています。
民医連で長い事働いて来て今思う事は、民医連綱領いつも傍にあり、行き詰まったり悩んだ時にふと振り返り、その理念を思い浮かべる事があったなーと思います。
担当させて頂いた利用者さんの生きざまを沢山経験しました。これから私も迎える高齢者予備軍として、人生の教訓にさせて頂きます。

民医連綱領の一文紹介
一、 人権を尊重し共同のいとなみとしての医療と介護、福祉をすすめ人々の命と健康
を守ります。
一、 国と企業の責任を明確にし、権利としての社会保障の実現のためたたかいます。
一、 科学的で民主的な管理と運営を貫き事業所を守り医療.介護.福祉従事者の生活の
向上と権利の確立をめざします。

寄り添うこと・・・(28)

国民が理解しているとは思われないマイナンバー制度

2016-c-1今年10月より国民、一人一人に12桁のマイナンバー(個人番号)が通知されました。利用者様からは、「送られてきたけど、どうしたら良いの」との声が多く寄せられています。
国が広報しているマイナンバー制度については以下の通りです。


Qマイナンバーって何のために導入されるのでしょうか

①所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなるため、負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止する。

②添付書類の削減など、行政手続きが簡素化され、国民の負担が軽減される。
その他、自分の情報の確認、行政機関からのお知らせを受け取ることができる。

③行政機関や地方公共団体などで、様々な情報の照合、転記、入力などに要している時間や労働が大幅に削減される。複数の業務の間で連携が進む作業の重複など、無駄が削減される。

・・・なんだか私たち国民にとって、あまりメリットがなさそうですね。

Qマイナンバーはいつから誰がどのように取り扱うのでしょうか

平成28年1月から社会保障、税、災害対策の行政手続きにマイナンバーが必要となる。また、税や社会保険の手続きにおいては、事業主や証券会社保険会社などが個人に代わって手続きを行なうこととされている場合もある。

・・・結局私たち国民にとって、必要な番号ではなさそうですね。

Q通知カード、個人番号カードはどう違うのでしょうか

通知カードは、紙製のカードであり、氏名、住所、生年月日、性別が記入され全ての人に送付されている。通知カードは、顔写真が入っていないため、本人確認に使用できるのは、別途顔写真の入った個人番号カードとなる。

利用者様から「個人番号カードを作った方が良いか」という声も聞かれます。最大のデメリットとしては、個人情報の流出です。たった一枚のカードで、個人の情報が手に入ることになります。政府は対策をとるといっていますが、すでにマイナンバーでの詐欺事件が多発しており、国民の不安は増大しています。
ケアマネジャーが、マイナンバーを取り扱うことは行なっていません。送付されてきたマイナンバー書類は、きちんと保管しておくことをおすすめしています。安易に個人番号カードをつくったり、他者に見せることはお勧めしません。

寄り添うこと・・・(27)

格差と貧困が拡大する中で命と暮らしを守るために生活保護制度を正しく活用しよう

201511-c2006年2月1日、京都市伏見区の桂川河川敷で息子(54)が認知症の母親を殺害して無理心中を図りました。介護の為、退職を余儀なくされ、生活保護を2度申請したが、失業給付金の受給などを理由に受理されませんでした。その後、失業給付金がなくなってからも生活保護の申請相談をすることがありませんでした。生活保護を受給していればここまで追い込まれることはなかったのではないかと、本当に残念でなりません。

あらためて生活保護制度を正しく活用するために簡単に制度の紹介を行います。

  • 生活保護の申請は住んでいる区の福祉事務所の生活保護課が窓口になります。
  • 生活保護は最低生活費の基準となる生活保護基準額表に基づいて収入が最低生活費を下回っている場合は差額分が支給対象となります。

仕事をしていても収入が生活保護基準額に満たない場合は保護の対象となります。

  • 生活保護は世帯で申請を行ないます。生活扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助、教育扶助、出産扶助などがあり、人数や必要に応じて利用することができます。
  • 預貯金、貯蓄型保険などある場合は、まず資産の活用が求められますが、生活している家を売却する必要はありません。仕事や通勤、通院などに必要な車は相談により認められる場合があります。
  • 扶養義務者への扶養照会が行われますが、扶養は保護の要件ではありません。金銭的援助がある場合も生活保護基準額を下回る場合は保護の対象となります。

憲法25条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と規定し、その具体化を国に求めています。必要な場合に生活保護を受けることは権利だということです。
葵会でも相談を受けています。みなさんの周りに困っている人がいたら、声をかけてみてください。