訪問看護に花は咲く74

今年は、暖冬と言われながら寒さが日々厳しくなってきています。私たちも風邪などひかないように、暖かくしてバイクで訪問するように心がけています。

今回ご紹介するのは、上京区にお住まいの70歳代の男性Aさんです。約二年前に、飲酒をして横断歩道を渡るとき縁石につまずいて転倒し、左膝を骨折して入院されました。退院するときに傷の炎症があり、その処置の目的で訪問看護が入るようになりました。今は傷もきれいになり、病状観察目的で訪問しています。

一人暮らしのAさんの楽しみは、毎日御霊神社にボランティア活動に行くことです。今の季節は落ち葉が多く、「掃いてもすぐに落ち葉が落ちてなあ」と明るく楽しそうに話されます。ほかのボランティアの方たちとの会話も楽しみの一つになっており、何日か来られないと心配されています。

また、Aさんはお祭りが大好きで、昔から京都のいろいろな場所のお祭りに参加されています。春は松尾神社から始まり、締めは秋の淀の祭りまで。骨折するまでは神輿も担がれていました。今年からお祭りも解禁、「神輿を担ぐのは若者に任せて」と神社から神社まで神輿のそばについてかなりの距離を歩かれました。お祭りの話をするときの楽しそうな顔が印象的です。自分の好きなこと、生きがいを見つけることができると、人生楽しく幸せに過ごすことができると、Aさんを見ていると感じます。

ただ一つ心配なことは、お酒を飲みすぎて転倒することです。訪問時に薬が飲めているか、飲酒量が増えていないか、足の筋力が衰えていないか専門的な視点で観察・確認しています。Aさんがこれからも自分らしく今の生活を続けていけるよう、多職種で考え支援していきたいと思います。

余談ですが…Aさんのお家は、時々かわいい野良の赤ちゃん猫が知らぬ間に上がっていて訪問時に出迎えてくれることがあります。そんな猫にも優しいAさんでした(笑)。

訪問看護に花は咲く73

令和元年5月、老人保健施設から訪問看護に異動になり5ヶ月が過ぎました。
今まで病院や施設などでの看護師経験はありましたが、訪問看護は全く初めての分野でした。

看護学生の時の実習で、訪問看護について話を聞く機会があり、その中で利用者さん一人一人に合った個別のケアがなされている事に、とても興味を持ちました。
その時、いつかわたしも訪問看護をしてみたい!という思いが芽生え、今回訪問看護で働く機会を与えてもらった事を、とても良かったと思っています。

最初の頃は、利用者さんのご自宅に到着するまでに、道に迷ってしまうという事が何度かありました。今はようやく無事に到着できるようになりました。

最近、終末期の一人暮らしの利用者さんを担当する中で、わたしがケア面で、こうさせて頂きたい!という思いばかりが先行してしまい、看護側の気持ちばかりが大きくなっていた事を反省した出来事がありました。いち早く体調の変化を見つけて、苦痛のないケアが出来るように、医師、看護師、ケアマネジャー、ヘルパー、デイサービスなどとの情報交換をしていく事の重要性を感じました。利用者さんの思いを汲み取り、その方にとって最善の看護とは何か?を感慨深く学んだ経験でした。

これからも利用者さん、ご家族との信頼関係を築いていけるよう努力し、一人一人の利用者さんにとってより良い看護を目指していきたいと思います。

訪問看護に花は咲く72

たかが盲腸! されど盲腸!

84歳の母が、田舎に1人住まいしています。身の回りのことは自立しています。
この夏の出来事!朝の7時に電話があり、腹痛で救急車の中、救急隊からでした。
「◯◯病院に搬送するのですぐ来て欲しい!」と。「すぐに出ても3時間はかかる。仕事もある」と悩み、とにかく仕事の段取りをつけ病院と連絡をとりました。盲腸の疑い!緊急手術の必要はなく、今後の治療方針を相談したいので、来院したらナースステーションに声かけを!と伝えられました。
病院に到着すると、母は偉く立腹!「医者の説明を受けたたが、腹切るかどうかを娘さんと相談しますと言われた。年寄りと思ってバカにして!私と相談するのが筋やろ!」
まーごもっとも!「その通りやけど、まー84歳って言うたら、家族に相談すると言われるのはしゃーないわ」と私は答えました。
私も高齢者と関わる仕事、こんな思いをさせていたのか?と振り返ってみました。そして、医師からの病状説明を私が聞いたので、弟にも知らせると「体にメスを入れるなんてとんでもない!手術は反対」と弟が言い出します。
結果4日後に手術となりましたが、とにかく、家族中が小さな嵐状態でした。
大した病気ではありません。けれど、本人にとっては一大事!たかが盲腸!されど盲腸!もとの暮らしに戻り「やっぱり西瓜のタネ飲んだらあかんなー盲腸になる」とひ孫に教えています。

母の年代の人は、
虫垂炎の事を「盲腸」と言います。