訪問看護に花は咲く2

今回は京都の洛北にお住まいのHさんご夫婦のお話です。
Hさんは、奥さんと二人暮らし。COPDという呼吸器の病気で、気管切開をしておられます。ご自分でトイレまで位なら何とか歩けますが、少しの動作でも息が苦しくなったり、咳や痰が出て、首の付け根に開けた皮膚から気管までの通路から吸引チューブを挿入して、痰を吸引したりしないといけません。
食事は今はほとんど口から食べることが出来るようになりましたが、今でも足らない水分などは胃瘻(いろう)を使って入れておられます。胃瘻とは、お腹から胃に直接チューブを通して栄養などを送り込む方法です。奥さんは夜中に起きて、痰の吸引をしたり、昼間も食事の世話をしたりと大変です。
 でも、ここの奥さんはパワフルです。とても80歳を過ぎておられるとは思えないお若さです。
私達が行くと、いつもにこやかに迎えて頂いています。時にはご主人の前でも愚痴をこぼされますが、すぐに笑いに替えて、前向きな姿勢に・・・
以前、民謡サークルで鍛えた喉で、ご主人のリハビリとして歌っている「ボケない小唄」「ボケます小唄」を一緒に歌います。最初は声が続かないから歌えないと言っておられたご主人も、奥さんのリードで歌うようになられました。最近は、以前の「おはこ」だった演歌なども歌っておられます。私達ナースは二人の応援団です。これからも二人仲良く、暮らして欲しいと思っています。

*Hさんは要介護5 週3日のデイサービスと週1回の訪問看護を受けておられます。訪問看護では、病状観察や気管切開や胃瘻などの点検や周囲の清拭やベッドサイドでの運動や歌を歌うリハビリをしています。

訪問看護に花は咲く1

今年86歳になるAさんは一人暮らし。カラオケ大好きな明るい女性です。でも、最近は心臓が悪いため、歌っているとしんどくなると、カラオケには行っていません。
家には今は懐かしいカセットテープがいっぱいあり、「私は演歌はキライ。ポップスが好き。」と、たくさんのカセットが並びます。
私にも、持って帰って、聞きと勧めてくれますが・・・。
そんなAさんの最近のお気に入りは、NHKの震災復興ソングの「花は咲く」です。
この歌がお好きな高齢者の方は多いのですが、サビの部分以外は高低差があり、歌うには少し難しいのです。Aさんは、友人に頼んで、カセットテープに「花は咲く」の色んなバージョンを吹き込んでもらっていますが、「これは難しいから聞くだけや」と、やや後ろ向き。
私が「この歌、私も好きやし、一緒に歌おう」と、テープに合わせて歌うと、「あんた、おもしろいなあ。私も、頑張るわ」と、原稿用紙に向かい、マジックで歌詞を書き写してくれました。普通の歌詞カードでは小さい字なので、見えにくいからと書き直して見やすくされました。ふだんは「物忘れがあって困るわ~」と、言っているAさんですが、すらすらと、漢字を織り交ぜながらきれいな字で書けました。
そして、新しい曲を覚えようという前向きな気持ちになり、知り合いのカラオケに行って見知らぬ人も巻き込んで一緒に「花は咲く」を歌ったというオマケ付きです。ちょっとしたきっかけで、人は元気になるものですね。私たちナースは「ちょっとしたきっかけ」を日々の訪問の中で見つけていきたいです。

*Aさんは、介護保険の要介護1.週1回の訪問看護で病状観察や服薬管理(主治医から処方された薬がきちんと服薬できているかの確認)1時間の訪問をしています。ヘルパーさんには週2回来てもらって、買い物や掃除の援助を受けておられます。

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