訪問看護に花は咲く42

第32回関西CAPDナースセミナー

腎不全になった時の治療方法は①透析療法②腎移植です。
その中で透析に2種類あるのをご存知でしょうか?
一般に透析と言うと、医療機関でやる血液透析を思い浮かべると思います。
そしてもう1種類は腹膜透析です。
腹膜透析はお腹に入れた管を使って、自宅でやる透析です。
血液透析と違って急激な血圧低下もなく、高齢の方にも優しい透析です。

当ステーションはこれまで2名の方の腹膜透析を実施してきました。
開始当初看護師誰も腹膜透析の経験がなく、ゼロからのスタート。
腹膜透析をする利用者さんと一緒に勉強してきました。
幸い信頼できる専門の医師に出会い、あたふたしながらも取り組んで来ました。
そんな時「2月19日の第32回関西CAPDナースセミナーでワークショップの講師をしてもらえませんか」とお話をいただき、私でいいのだろうかと迷いましたが受けました。

プレゼンテーションはつっかえながらでしたが、89歳で腹膜透析をした方のがんばりを伝えたくて取組ました。
それまで私は利用者さんを支えていきたいと思っていました。
しかし初めてみる機械の操作をうまくできなくて悔しくてくちびるを噛みしめ、それでも必死に覚えようとしていた利用者さんの姿に実は私が支えられていたのだと気づきました。

在宅医師をはじめとする医療チーム、ケアマネ、ヘルパー、訪問リハビリの介護チーム、毎朝安否確認をしてくれるご近所さん、誰一人欠けても在宅生活は成り立たなかったと思います。
そのことにこの事例をまとめて改めて気づかされました。

まだあまり普及していない腹膜透析ですが、医療連携、地域連携が整えば独居の高齢な方でもできる治療です。
腹膜透析の地域連携を目指した「京都PD地域連携の会」を立ち上げ、勉強会を開催します。
腹膜透析をしていない施設の方も、ぜひご参加ください。

京都PD地域連携の会勉強会のお知らせ(クリックすると拡大表示されます)


当ステーション訪問看護は京都PD地域連携の会の幹事施設です。

訪問看護に花は咲く41

母の口癖は「お金がない」でした。その言葉を小さい頃から聞かされていたので、子供ながらに私は、高校へ行ったら両親に迷惑がかかるから「高校行ったらあかんのや」とずっと思っていました。昔から看護師になりたかった私は中学卒業後、准看護師の学校に行きました。国立療養所だったのでお金は余りかかりませんでした。卒業後、京都に出てきて働きながら定時制高校に4年間通いました。17歳で准看護師になった事と都会に初めて出てきたのでとても戸惑いました。まず、言葉の壁、仕事に慣れる事、人に慣れる事「私大変な道を選んじゃったんや」ホームシックになり何度も田舎に帰りたいと思いました。なんとか仕事にも京都にもなれ無事高校も卒業できました。卒業後は進学コースに進みました。2年生までは学業だけだったので順調でした。ところが3年生になり実習が始まり、記録がかけず人前で発表することが殆んどでした。人前で話すのは唯一私の苦手とするところでした。とうとう夏に学校を辞めてしまいました。辞めた後はこれで楽になれたと思っていました。その後結婚し子供も二歳になったので再就職しました。小さい診療所でしたがまわりは看護師ばかりでした。看護に対する考え方も仕事の内容も高度になっており、皆についていくのに必死でした。実習に行っていた頃の夢を何度もみました。この時もう一度進学コースに行きたいと思うようになり時間があれば勉強していました。翌年、念願叶って学校に行ける事になりました。若い頃と違って久しぶりの勉強は楽しく実習も乗り越えられました。

頑張れば夢は大抵叶う、人生に無駄な物なんて何一つないと思えるようになりました。今訪問看護師をしていて思うのはこの仕事は看護師として1人の人間として成長していける仕事だと思っています。まだまだ足りないところばかりですがこれからも頑張っていこうと思っています。

訪問看護に花は咲く40

今年のお正月は暖かくてとても過ごしやすかったのですが、1月半ばから雪がよく降るようになり、寒さが厳しくなってきています。そんな中、毎日バイクに乗り利用者様のもとへ訪問しています。

今回ご紹介するのは、北区にお住いのAさん70歳代です。2年前に病気で入院してから、一時期は生命の危機があり、生死を彷徨われていたそうです。しかし、Aさんの病気に打ち勝つ力と、ご家族の献身的で諦めない思いが強く、主治医にまで「奇跡的な回復」といわれるまでに状態が安定し、腸瘻から栄養を補いながら8カ月後に、家に帰ることができました。

入院されるまではとても元気で、町内の行事にリーダーとなって参加されたり、手先も器用で、お正月には施設の門松も手作りされるなど、周りからもとても頼りにされる存在です。退院されてからは、奥様と2人3脚で、少しずつ経口から食事も入るようになり、リハビリも頑張り、8か月後には、腸瘻も抜去され座る時間も長くなるなど回復されてきています。

元気になって歩けるようになったら、好きな釣りに行ったり、スキーをしたりとやりたいことがたくさんあると話して下さいます。穏やかで優しいAさんと、明るくて周りのものも元気にしてくれる奥様、とても仲のよいご夫婦です。そして、2人の子供さんもよく様子を見に来られており、家族の絆も強いと感じます。

訪問時は看護師としていろいろケアやアドバイスなどさせて頂いていますが、反対にご夫婦から得ることも多く、訪問に行くのが楽しみになっています。これからも、少しずつ身体が回復され、やりたいことが実現できるようにサポートできたらいいなと思っています。