訪問看護に花は咲く138

自宅で療養生活を続けるために
ヘルパーさんは不可欠です


最近私がYouTubeではまっているのは外国人ヘルパーさんが人間味あふれる介護を提供している動画です。言葉と介護の勉強をしながら懸命に仕事をしている姿に感銘を受けました。

さて「2025年問題」という言葉をご存じでしょうか。日本の人口の約3人に1人が65歳以上、約5人に1人が75歳以上という、世界でも類を見ない超高齢化社会を迎えた今、医療、介護、年金、雇用、経済…と、社会のあらゆる分野で課題が生じると予想されています。特に、介護保険制度の持続が困難となることが懸念されています。訪問介護の現場ではホームヘルパーが不足し、必要なサービスを提供できない現状が出てきています。厚生労働省の最新データによると、 2024年6月から8月の3か月間で、全国の訪問介護事業所のうち166件が休止、397件が廃止となりました。 

思い返せばちょうどその頃、私たちが訪問看護をしている利用者さんにヘルパーさんを導入することになったのですが、ケアマネジャーさんから「ヘルパーさんを確保できないのでいろいろな事業所を当たっているんです」と聞き、利用者さんが自宅での生活が続けられなくなると思い大変な事態が現実に起こっていることを実感しました。

2024年の介護報酬改定では、訪問介護の基本報酬がマイナス改定となり多くの事業所が経営難に陥っています。訪問のための移動時間や交通費、派遣会社を利用しての人材確保をする場合には紹介料や手数料が多くかかることも経営を圧迫している要因です。
利用者も介護保険制度発足時は負担が1割でしたが、現在は2割3割と引き上げられる方もあり負担はますます大きくなっています。
訪問介護事業所にも利用者さんにもやさしい介護保険制度となるためにはどうしたらいいのでしょうか・・・

「直接雇用の促進」や「介護保険制度・介護報酬の見直し」などの政策を変えられるよう現場からみんなで声を上げていきましょう。

訪問看護に花は咲く137

元気で!たんぱく質しっかり取ってフレイル予防


フレイルとは、特に高齢者で起こる体力や気力、社会生活的にも弱ってしまっている状態です。栄養不足による筋肉不足が大きく関わっていますが「たんぱく質」が摂れていない事が今指摘されています。
たんぱく質はエネルギー源になり、主食や油が足りなくなると、体は筋肉のたんぱく質を壊してエネルギーを作ろうとします。体に必要なエネルギーはごはんなどでしっかり摂った上で、たんぱく質を摂取する事が大事です。
主なたんぱく質 : 肉、魚、豆、牛乳、チーズ、豆腐など
たんぱく質が分解され、アミノ酸になり、そこに「ビタミンB6」が必要になります。食材としては鶏のささみや、豚のモモ、鰹やマグロなどに含まれていますが、一回の食事量では足りません。3食をしっかり色々食べましょう。

訪問看護に花は咲く136

人生100年時代

2024年の統計によると、日本人の平均寿命は男性81歳、女性87歳、90歳まで生存する人の割合は、男性26.0%、女性50.1%(厚生労働省令和5年簡易生命表の概況より)となり、まさに『人生100年時代』という言葉が現実味を帯びてきました。

病気がなくても年齢と共に体力や物事を考えたり伝えたりする機能は衰えていきます。そして自分が望んだ治療や生活を送ることが難しくなっていきます。
皆さんは、これから100歳に向かって生活していく中で、自分が大切にしていることは何か、どのような望みを持っているのか、どのような生活を送りたいかということを考え、家族や親しい人に伝えたことがありますか?

『人生100年これからゲーム』というカードゲームを御存じでしょうか?カードには4分野(医療・生活ケア・人間関係・価値観)の大切なことが記されています。例えば「痛みや苦しみがないようにしてほしい(医療)」「毎日お風呂に入りたい(生活ケア)」「誰かに必要とされたい(人間関係)」「最期までおしゃれをしていたい(価値観)」などがあります。私の夫は「機械やチューブで延命はしないでほしい」「最期まで穏やかに笑顔でいたい」「ひとりの時間を保ちたい」「静かに眠るように旅立ちたい」というカードを選んでいました。

自分が病気にかかったり歳を取って動けなくなった時のことを今から考えるなんて「縁起でもない」と思われる方もあるかもしれません。日常では話し合う機会が少ないテーマですが、カードゲームを通して家族の思いを知ることができるかもしれません。

訪問看護に花は咲く135

新年のご挨拶

旧年中は大変お世話になり、職員一同心より御礼申し上げます。皆様のご健康とご多幸をお祈りし、新年のご挨拶とさせていただきます。

さて、2025年は超高齢化社会を迎えることで医療や介護の需要と供給のバランスが崩れることが懸念されています。
要因は医療・介護費の増大、労働人口の減少による医療・介護従事者の不足、介護する側も高齢者となる「老老介護」の増加などがあげられます。
今後、私たちに課せられているのは皆が平等に使いやすい介護保険制度になるよう、医療・介護費などを中心に公費負担額を見直すように声を上げること、他サービス事業所様との連携、ICTの活用による業務効率向上、労働環境の改善と考えています。
葵会総合ケアステーション訪問看護は本年も、ご利用いただく方々が住み慣れた地域で自分らしい生活を送れるよう更なる努力と精一杯の対応をさせていただきますので、より一層のご支援、お引立てを賜りますようお願い申し上げます。

葵会総合ケアステーション 訪問看護職員一同

訪問看護に花は咲く134

師走の到来「南座のまねき上げ」                 

京都では、京都南座の「まねき上げ」が行われると、いよいよ師走の到来です。まねき上げは、12月から南座で興行される恒例の歌舞伎興行「顔見世」の出演者たちの名前を、独特の勘亭流(かんていりゅう)文字で墨書したまねき看板を、南座正面に飾り付けられます。江戸時代、芝居役者が一年契約だったために毎年11月で新しい役者が入れ替わり、そのお披露目の名乗り口上(こうじょう)をこの時期に述べたことが東西顔見世興行の始まりで、東西の人気役者が勢ぞろいします。

12月は1年間を振り返る時期でもあります。この1年間、皆様も様々なことがあったとは思いますが、年の瀬を迎えられることは幸せだと感じられる方も多いと想像します。世界を見れば、ロシアによるウクライナ攻撃、イスラエルによるパレスチナ攻撃は今も続いており多くの尊い命が失われています。また、アメリカの大統領選などを見ると社会の分断が見られ、世界が大きく変化していることを感じざるを得ません。

このような時代を見ていると、私自身、大きく変化なく過ごせていることに幸せだと感じることが増えています。世界の紛争が早く終結し、何気ない日常が訪れることを願います