師走の到来「南座のまねき上げ」
京都では、京都南座の「まねき上げ」が行われると、いよいよ師走の到来です。まねき上げは、12月から南座で興行される恒例の歌舞伎興行「顔見世」の出演者たちの名前を、独特の勘亭流(かんていりゅう)文字で墨書したまねき看板を、南座正面に飾り付けられます。江戸時代、芝居役者が一年契約だったために毎年11月で新しい役者が入れ替わり、そのお披露目の名乗り口上(こうじょう)をこの時期に述べたことが東西顔見世興行の始まりで、東西の人気役者が勢ぞろいします。
12月は1年間を振り返る時期でもあります。この1年間、皆様も様々なことがあったとは思いますが、年の瀬を迎えられることは幸せだと感じられる方も多いと想像します。世界を見れば、ロシアによるウクライナ攻撃、イスラエルによるパレスチナ攻撃は今も続いており多くの尊い命が失われています。また、アメリカの大統領選などを見ると社会の分断が見られ、世界が大きく変化していることを感じざるを得ません。
このような時代を見ていると、私自身、大きく変化なく過ごせていることに幸せだと感じることが増えています。世界の紛争が早く終結し、何気ない日常が訪れることを願います
今年の夏は、酷暑と言われるほどに暑すぎる夏でしたね。10月になっても暑さが残り、体調を崩される方も多かったのではないでしょうか?
この夏、我が家に大事件がおこりました。9月初め、私が出かけている時に夫から「庭木にでっかい蜂の巣」とメッセージが写真付きで送られてきました。「庭に蜂の巣?」とびっくり‼ それもスズメバチの巣でした。この夏、息子家族が帰省した時に庭でプール遊びをしていたことを思い出し、「孫が刺されなくて良かった」と安堵したのです。あとからその時の写真を見返すと、すでに庭木には蜂の巣ができていました。
即、蜂の巣駆除業者に連絡するように伝えると、夫からは「10センチほどやし何とか退治する。」との返事。蜂駆除用のスプレーを購入し、夕方に蜂が巣に戻ってきたところを駆除したようです。まだ巣が小さかったため駆除できたようですが、とても危険なことでした。
夫にどうして蜂の巣があると気が付いたのか聞くと、1匹の蜂が庭の花のあたりを飛んでいたようで、巣がないか探したそうです。「まさかこんなところに」というような一本の木に巣ができていました。
今年はスズメバチの巣の駆除要請が多かったとテレビで報道していました。今回は業者に頼まずことなきを得ましたが、本当は専門の業者に頼むのが一番で、危険なことはしないようにすることだと話し合いました。
スズメバチは雨風や直射日光を避けられる軒下や閉鎖的な室外機の中、屋根裏、餌を近くで捕獲できるような庭木などを好んで巣を作るそうです。たまには蜂の巣がないか家の周囲を見回ることも必要だと実感しました。今年の夏の一大事件でした。
今年の夏も猛烈な暑さで、残暑も厳しく、ようやく過ごしやすい季節になってきましたね。
さて、今回は本のご紹介をいたします。
私は、よくラジオを聞くのですが、そのラジオから流れてきた本の紹介をたまたま聞いていて、この本と出会いました。
作家の西加奈子さん。2021年、移住先のカナダで乳がんの宣告を受け、周囲に支えられて歩んだがん治療の日々をつづられた著書『くもをさがす』。
ある日、乳房にしこりがあることに気付き、受診。検査を受け、治療が始まる。中でも、病院での医療スタッフとの会話が関西弁で書かれていることに、親近感がわき、どんどん読み進めてしまいました。そして、カナダと日本の医療の違いにもまた驚かされました。
一つ目は、著者の移住先のブリティッシュ・コロンビア州では、MSP(Medical Service Plan)と呼ばれる健康保険に入っていれば、医療がすべて無料で受けられ、外国人や留学生にも適応されるということ。(永住権・市民権保持者・ワーキングホリデービザで渡航する人は保険料が無料。学生ビザの人は月75ドルの保険料となっているそうです:バンクーバー留学センターHPより)
二つ目は、乳がんの手術が日帰りで行われるということ。術後、麻酔から覚め、意識がはっきりしてくると手術創から出ている管(ドレーン)の管理やドレーンにつながっている袋に溜まっている排出液の捨て方など、看護師から説明を受け、自宅へ帰るというシステム。その後は指示された日に、地域の医療センターに行き、看護師に創部のガーゼ交換をしてもらい、ドレーンからの排液量が減ってきた段階で、そのドレーンも抜いてくれるという流れだそうです。
この本の“終わりに“は、このような著者からのメッセージが記されています。
文中に登場した治療方法や薬、出来事に関しては、あくまで私個人の選択であり、経験であることを強調したい。がん治療は人によって違うし、効能や結果も違う。もし、今あなたががんに罹患しているなら、あなたにとってベストの選択をしてほしい。私の体のボスが私であるように、あなたの体のボスはあなただ。あなたが少しでも穏やかに過ごせることを、心から、心から、願っている。
日々の忙しさで、なかなか本を読む時間を作ることは難しいこともありますが、自分の知らない世界へ連れて行ってくれる読書はいかがでしょうか。