寄り添うこと・・・(27)
格差と貧困が拡大する中で命と暮らしを守るために生活保護制度を正しく活用しよう
2006年2月1日、京都市伏見区の桂川河川敷で息子(54)が認知症の母親を殺害して無理心中を図りました。介護の為、退職を余儀なくされ、生活保護を2度申請したが、失業給付金の受給などを理由に受理されませんでした。その後、失業給付金がなくなってからも生活保護の申請相談をすることがありませんでした。生活保護を受給していればここまで追い込まれることはなかったのではないかと、本当に残念でなりません。
あらためて生活保護制度を正しく活用するために簡単に制度の紹介を行います。
- 生活保護の申請は住んでいる区の福祉事務所の生活保護課が窓口になります。
- 生活保護は最低生活費の基準となる生活保護基準額表に基づいて収入が最低生活費を下回っている場合は差額分が支給対象となります。
仕事をしていても収入が生活保護基準額に満たない場合は保護の対象となります。
- 生活保護は世帯で申請を行ないます。生活扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助、教育扶助、出産扶助などがあり、人数や必要に応じて利用することができます。
- 預貯金、貯蓄型保険などある場合は、まず資産の活用が求められますが、生活している家を売却する必要はありません。仕事や通勤、通院などに必要な車は相談により認められる場合があります。
- 扶養義務者への扶養照会が行われますが、扶養は保護の要件ではありません。金銭的援助がある場合も生活保護基準額を下回る場合は保護の対象となります。
憲法25条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と規定し、その具体化を国に求めています。必要な場合に生活保護を受けることは権利だということです。
葵会でも相談を受けています。みなさんの周りに困っている人がいたら、声をかけてみてください。
更新日:2015-12-01 | ケアマネブログ