寄り添うこと・・・(31)

要介護1、2のサービス見直しの恐れ

厚生労働省は、要介護1~2の方が受ける生活援助サービスを、原則自己負担へと見直す方針を検討しています。介護保険財政の公費支出をおさえるために、介護サービスの締め付けは益々酷くなるばかりです。消費税増税は何のためだったのでしょうか。

ヘルパーの生活援助とは、買い物や掃除、洗濯など、まさに人間らしい「生活」を営むために欠かせない支援です。足が不自由なため買い物へ行けない一人暮らしのAさん(要介護1)。週2回ヘルパーが買い物へ行くことで食べ物が確保出来ていますが、全額自費になったら10倍の利用料です。週2回1時間の生活援助は、1ヶ月で約2000円、自費になれば20000円となります。毎月ギリギリの生活をしていたAさん。ヘルパーの買い物を続けられるのでしょうか。

要介護1~2への生活援助サービスを外すことで確実に大きな影響を受けるのが、家族です。高齢の両親と別居していても、ヘルパーの援助を受けることで仕事を辞めずに済んでいた人もいます。介護給付から外されると、家族が介護をせざるを得ず、離職を選ぶことになるかもしれません。施設入所を考えたとしても、2015年の介護保険改定で、特例の事情がない限り特別養護老人ホームは要介護3以上の方しか申し込みが出来なくなりました。

国は介護離職者ゼロを目指すという方針を掲げていますが、やっていることはその逆で、高齢者と家族に負担を強いるばかりです。国が担う比重を減らし、家族の助け合いや自己責任を強調する構想に、弱者や低所得者が今以上に社会保障から排除されることのないよう、より一層声を上げていく必要があります。