寄り添うこと・・・(33)

日本社会への警鐘 -「老後破産」問題の解決を-

05c政府筋の情報では高齢者はお金持ちということになっていますが、本当なのでしょうか。全世帯のうち約16%が一人世帯で、所得は約120万円で、相対的貧困層といわれています。相対的貧困率は65歳以上になると22%、そのうち男性一人世帯は38%、女性一人世帯では52%と半分以上に増加します。多くの高齢者が「老後破産」の危機に直面しているのが現実です。

デンマークは日本やアメリカと同じ資本主義、自由主義経済の国ですが、医療介護教育など社会保障制度のあり方は大きく異なっています。医療介護教育など社会保障制度の柱は原則無料です。デンマーク国民は医療カードを示せばEU圏内のどこでも無料で医療が受けられるとのこと。もちろん財源は税金で日本より高いのも事実です。しかし、様々な制度を通じて国民生活がしっかりと支えられ、納めた税金に対して社会保障給付が明確なため、高い税金にも国民の理解が得られているのでしょう。国政選挙の投票率は8割超ということですから、日本の2倍くらいの割合で国民が意思表示をして、政策を支持していることになります。日本の経済力があれば、かなり近いことが、あるいはそれ以上のことができるのではないでしょうか。

自分自身が60歳を間直に控え、日本社会で老後を迎えることの大変さを考えさせられます。相談活動を通じて、高齢者の生活は余裕のない状態におかれていることを実感します。 病気やケガで医療介護費用が増えると、年金では足りず、蓄えを取り崩し、生活に困窮する事例は珍しくありません。今年の7月は参議院選挙です。主権者として税金の使い道をしっかりと確かめ、未来を託す意思表示をしたいと思います。