寄り添うこと・・・(55)
汗ばむ季節になりました。光熱費削減が至上命令の当事業所に於いても、ついついエアコンのスイッチに手が伸びる事が多くなってきています。
暑くなりだすと、私共のような御高齢の方を相手に仕事をする者がおのずと気になるのが熱中症対策です。
東京消防庁のデータによると、80歳代の方が熱中症で救急搬送される数は、60歳代の約2倍になるそうです。年齢を経るごとに、加齢や疾患による体温調整機能の低下等から搬送率が高くなるのは当然であると思いますが、それだけではなく、高齢者特有の生活習慣や水分の取り方なども大きな要因にあるようです。
まずエアコンをなかなか使おうとしない事があげられます。限られた年金や貯蓄頼みで生活する高齢者が電気代を節約する為にエアコンを使わないというのはよく聞かれる話です。認知症を患う方がエアコンを操作できず、窓を開ける事もできずにいた、というケースもあります。
暑い部屋の中、夜間不眠による昼夜逆転や薬の副作用などによってウトウトしてしまい、気付かないまま脱水状態となって意識混濁に陥るという事もあるでしょう。
トイレが近くなるので水分を摂りたくない、という訴えもよく聞かれます。
嚥下機能が低下してむせる事が多くなり水分を避けるようになる。手指機能の低下によってコップに水を注ぐ、コップを持つ動作が辛くなる。感覚の鈍麻から、そもそも喉の渇きを感じにくい…。様々な理由から日常的に水分を摂る習慣から遠ざかってしまいます。
しかし、少しの工夫や手助けで解決や代替策を講じ得る事もあると思います。
エアコンの電気代節約やスイッチのON/OFFは、設定温度やタイマーを上手く使う。
水分でむせるならトロミ材を活用する。軽くて飲みやすいコップやストローを使う。喉が渇いていなくても、決まったタイミングで少しずつでも水分を摂るよう習慣を付ける…。
もし周りに熱中症のリスクが高くて心配な方がおられるなら、ゆっくり時間をとってその方と麦茶の一杯でもご一緒してみては如何でしょうか。飲むしぐさや会話の中から、その方に合った予防方法を見つけてあげられるかもしれません。たとえ見つからなかったとしても、とりあえずコップ一杯分の水分確保をお手伝いする事になります。