訪問看護に花は咲く34

~ご近所の底力~

05houmon私たちの訪問看護ステーションは京都市北区にあり、賀茂川沿いの街道を訪問先に向かってバイクで移動することがあります。

冬の寒い朝、Mさんが賀茂街道を散歩しておられるのを見つけました。Mさんは賀茂川の近くにお住まいです。昨年奥様を亡くされ、今は一人で暮らしておられます。週1回の訪問では、一人暮らしに不自由なことや困っていることはないか、体調はどうかなどの確認をします。

「Mさん、おはようございます」「はて?あんた、誰やったかいな~?」「血圧を測りに来ている看護師ですよ」「そうやった、そうやった。ちょうどよかった。たまたま家におったんや」

毎回こんなやりとりで始まるMさんの訪問ですが、時々留守のことがあります。賀茂街道を歩いておられることもあるので探しに行ったり、再度訪問し直したりするのですが、そんな私の姿を見かけるとお隣の方や民生委員さんなどが声をかけて下さいます。

「最近は出町柳まで散歩に行ってはる」など近況を教えて下さり「道に迷わはることは今のところないみたい」と気にかけて下さっています。

年齢を重ね介護が必要になった時、このまま住み慣れた家や地域で暮らし続けることができるのかどうか・・・誰もが直面する現実です。Mさんには訪問看護以外にもケアマネージャーやデイサービスのスタッフが関わっています。しかしこれらの専門スタッフよりも頼りになるのは昔からの顔なじみのご近所の方々。いつも目配り、気配りでMさんを支えて下さっています。Mさんの生活を見守り、「住み慣れた家で暮らさはるのが一番ええと思いますよ」と。

そんな一言に胸が熱くなり、「ご近所の底力」に頭が下がります。これからも地域での見守り、よろしくお願いします!