訪問看護に花は咲く125

今年は暖冬といわれていた通り、気温の高い日が多く、もう桜も咲いてしまうのではないかと思うような今日この頃です。

当ステーションで働き始め、1年が過ぎ、様々なご利用者様やそのご家族と関わらせていただいています。中でも、今回、ご紹介させていただきたいご利用者様は、私自身、初めて在宅での看取りを経験させていただいた方です。

そのご利用者様(Aさん)は、弟様とのお二人暮らしで、徐々に体重が減ってきておられたことと身体の機能も低下してきておられたため、3年ほど前から訪問看護が関わらせていただくことになりました。

訪問時は、ごあいさつするとAさんは「おはよう」と笑顔でお返事してくださり、穏やかな方でした。体調の確認やご自宅でのご様子などは弟様からお聞きしていました。介護者である弟様もご自身の治療や検査を継続されながら、介護を続けておられ、お話を聞く度に、頭が下がる思いでした。そんな中、徐々に、Aさんの食べられる量が減っていき、元気がなくなっていく状況が続いていました。そういった期間が続いたため、主治医の先生からも残された時間が限られていることが伝えられました。

最期をどこで迎えたいと考えておられるかということに対して、弟様は迷うことなく、「このまま家で看てあげよう思ってますねん」と話されていました。その決断の裏には、お父様を病院で亡くされ、自宅で看てあげたら良かったという思いがおありだったようです。

大切なご家族を介護され、ご自宅で看取られた弟様の努力や気づかい、優しさに私自身も胸を打たれました。そして、その弟さまの思いに応えるかのように、苦しむことなく穏やかな最期を迎えられたAさん。
悲しみや寂しさがありながらも、弟様は「最期まで家で看られて良かったです。いろいろ教えてもらえたからできたんです。」と、後日、訪問させていただいたときにお話ししてくださいました。

訪問看護の経験はまだ、日が浅く、何か力になれていることはあるかなと心配していましたが、弟様からのこの言葉に訪問看護の役割に気付かせていただいたように思います。