突然ですが、毎日ご家族の介護を続けておられる皆様、本当にお疲れ様です。
仕事を持ちながら、あるいはお身内などと協力しながら、お一人で担っておられる方、またそれら複数の状況が重なっている方など、実情は様々だと思います。程度や受け止め方に違いはあれど、介護には制約や責任が伴い、時には心身ともに疲労してしまう重労働であり、それに携わっておられる方々に心から頭が下がります。
私事ですが、今年1月に母親が満80歳を迎えました。勉強と労働をしながら資格を得て、夫婦共働きで4人の子を育て、現在は高血圧や難聴はあるものの、認知症はなく、ほぼ毎日プール通いや通信教育を受けるなど、元気に暮らしています。
数年前、訪問看護師として関わってきた、自分と同年代のあるご家族(長女様)は、介護しておられる親御さん(お父様)も自分の親と同年代でした。そのご家族にはお子さんが3人おられ、末っ子はまだ義務教育が終わっておらず、家事、育児のほかに介護の負担まで重くのしかかっていました。しばらく受け持ちとして毎週訪問していましたが、親御さんは徐々に認知症が進み、その対応に苦慮したご家族がどんどん疲弊していく姿を目の当たりにして、同年代で同じ子育て中という事もあり、とても他人事とは思えませんでした。もし自分がこのご家族の立場だったら、とても両立などできない、親にもこんなに優しく接することができないと感じたと同時に、親が元気で自立して過ごしているということに感謝してしまいました。自分にもいつかは親を介護する時が来るとは思いますが、このご家族からはたくさんの大切なことを学ばせてもらったと思います。
まだ人生経験も浅く、たいした苦労もしていない自分が介護の相談や指導に当たるのはおこがましく、頼りにならないことだと思います。それどころか、逆に教えていただくことの方が多いかもしれません。いつも看護師をあたたかく迎えて下さりありがとうございます。今も療養や介護に奮闘されている皆様はどうか頑張らないで、お一人で抱え込んだりしないで、愚痴だけでも良いので、訪問看護師にこぼしてみてくださいね。


先日施設入所で終了となった元利用者のAさんがこの世を去られたとご家族から連絡がありました。
Aさんは腹膜透析を導入するからぜひ当ステーションに支援に入ってほしいと主治医から依頼があり訪問看護を開始した方です。
入院前のカンファレンスでAさんにお会いしてびっくりしました。
私の通勤途中でよくお見掛けする方でした。
Aさんは50歳の時脳出血を発症。懸命にリハビリし右半身の完全麻痺がありながら自動車を運転し遠方に外出し、調理以外の家事をこなしておひとりで生活していました。
私が見ていたAさんは杖をつきながらゴミ出ししている姿でした。
Aさんなら透析の手技をマスターできると確信しました。
入院で腹膜透析の手技を練習し、在宅生活が始まりました。
Aさんが選んだのは夜間に機械で自動的に透析するAPDという方法です。
機械のセット、時間が来たらお腹の管と機械をつなぎ透析開始。
朝に透析が終了したら機械とお腹の管を切り離すというもの。
訪問看護では機械のセットが正確にできるように支援をしました。
入院中に一通り練習しましたが、間違えることがあると病棟看護師から引き継ぎました。
「透析液を開通する」「機械のボタンを押していく」「機械にルートを装着する」「透析液とルートを接続する」
文章にするといとも簡単に思えますが、私たち看護師でもいきなり一人ではできません。
手順書を一つ一つ確認しながら、Aさんがご自身でマスターしていくのを見守りました。
一番苦労したのは「透析液を開通する」でした。
4リットルある透析液を開通するのは力がいるもの。
それをAさんは片手だけでするのです。
時間はかかりましたがいろいろな方法を試しマスターし、訪問看護の入らない日もできていました。
その後転倒して大腿骨頸部骨折で手術しましたが、家に帰りたいと懸命にリハビリし入院前と同じくらい歩行できるようになり退院。
自動車から電動カートに変わりましたが、外出を楽しんでおられました。
残念ながら血液透析に移行することになり、透析できる施設に入所となりました。
Aさんの訪問看護をしていて、身体の自由が利かなくても残存機能を生かして懸命に頑張る姿に勇気づけられました。
逆手で箸やはさみを持ち器用に使っている姿、失語症がありながらも機械のトラブル時に
コールセンターに電話して解決する姿に限りない可能性を感じました。
私にたくさんのことを教えてくれたAさん。
Aさんの訪問看護ができて嬉しかったです。
ご冥福をお祈りいたします。

年始のご挨拶
旧年中は葵会総合ケアステーション訪問看護をご利用いただき職員一同心より御礼申し上げます。
利用者さまには緊急対応などで訪問時間を変更させていただくことがありましたが、ご理解とご協力をいただいたことに感謝申し上げます。
サービス事業所の皆さまにおかれましても常日ごろから様々なことでご協力とご支援賜りましたことに感謝申し上げます。
さて、コロナ禍の訪問は丸三年が経過しました。マスクをつけての会話は表情がわかりにくいため声のトーンもですが、アイコンタクトがとても大切になってきます。『目は口ほどに物をいう』ともいいます。マスクの下でも笑顔で、目元から気持ちを伝えられるように職員一同で心がけて参りたいと思います。
「できる限り住み慣れた場所で暮らしたい」との思いにこたえられるように、本年も更なるサービスの向上に努めて参りますので、より一層のご支援、お引立てを賜りますようお願い申し上げます。
皆様のご健康とご多幸をお祈りし、新年のご挨拶とさせていただきます。

葵会総合ケアステーション訪問看護職員一同