訪問看護に花は咲く36

「昔戦争があった…」

hu8月15日は71回目の終戦の日でした。

訪問している方々には戦争体験をされた方もおられます。
「衛生兵で中国に渡って、歩いてインドまで行った」
「買い出しに行った先で米軍機に狙撃され、そのまま地面に倒れ込んだ。死んだかと思った」
「戦争中に満州に渡って終戦で帰国した。駅で座りこんでいるとあまりにもみすぼらしく思われたのか、知らない人がおにぎりをくれた」
「夫が徴兵されて集合場所までそっとついて行った。電信柱の影から見た姿が最後。その時はお腹に子どもがいると知らなくて、夫は自分に子どもがいることを知らないまま死んで行った」などお話しを伺うことがあります。

私の親は終戦時3歳、ほとんど戦争の記憶はありません。
身内に戦死者はなく、戦争の話しはどこか遠いところのような感じがしていました。
私が20歳になるまでは…

母方の祖父が徴兵され、遠い南方戦線で亡くなったことを知りました。
その島の部隊1500人中生き残ったのはわずか12人。
戦死通知だけで髪の毛1本も戻ってこなかったそうです。
母は1歳未満で別れた父の記憶はありません。
戦後祖母は再婚したので、私はその事実を知りませんでした。
この話しをしてくれた時の母は、これまで見たこともない辛そうな顔でした。
戦争の記憶がなくても、戦争はいつまでも人を苦しめるのだとその時初めて感じました。

憲法改正の動きや安保法制施行など、きな臭い現在を「まるで戦前のようだ」と言う声を聞きます。
祖父の命日と終戦の日に、今を絶対に戦前にしてはならないと誓いました。