訪問看護に花は咲く17

底冷えの京都に、今年も寒い冬がやってきました。
今回ご紹介するのはⅠさん。79歳の女性です。
一緒に住んでおられる娘さんは仕事があるため、昼間はIさんが一人でお留守番です。
Iさんは色白でボブカットの髪形が良く似合います。そんなかわいらしい雰囲気のIさんはとても「怖がりさん」なのです。
何をするにも「痛ないか?」「どうもないか?」「そんなんできるやろか」と不安が先に立ちます。
Iさんは足のむくみがあり、歩くのもゆっくりでシャワーをするのも娘さんの手助けがいります。「怖がりさん」なので足の爪を切らせてくれません。訪問看護が始まったころは足湯をしてIさんに「痛くないですか」と聞きながら足の爪切りをしていました。ところが、そんな「怖がりさん」のイメージをガラッと変える場面を見つけたのです。
12月からヘルパーさんがシャワーのお手伝いをして下さることになり、娘さんの希望もあり訪問看護では家から出て歩く練習をすることになりました。
この1年、家から一歩も外に出たことがないIさん。連れだす私も「玄関の段差は大丈夫かな」「途中で動けなくなったらどうしよう」と心配になりました。ところが、さぁ、出かけるぞ!となると私の心配を横に、段差も上手に上がり下りでき、家の前のお地蔵さんに手を合わせ「外に出るのは今年のお正月以来やわぁ」と大喜び。歩くペースも家の中よりずっと速い。意外と大胆!
何よりも驚いたのはご近所の方が次々と寄って来られ「久しぶりやなぁ」「たまには顔見せてや」と一緒に喜んでくださる人気ぶり。Iさんの人柄ですね。
散歩を始めてからIさんの「怖がりさん」は少しましになり、風の冷たい日でも「そこまで行ってみよか」と積極的です。私の方は相変わらず「大丈夫かな」と心配しながらですが・・・。
12-2