寄り添うこと・・・(2)

京都生まれ京都育ちのMさんは、社交ダンスに旅行と多趣味で楽しく過ごしておられましたが、50歳を過ぎ糖尿病と診断されました。
70代後半になり、血糖コントロールが悪く、インシュリン療法を始めることになりました。しかしそのころから認知症の症状が出てきたため認知症薬が処方されるようになりましたが、服薬が全くできなくなり精神状態も不穏となりました。長男夫婦の部屋を覗く、嫁にお金を盗まれたなど被害妄想も出てきたため、主治医の先生や、薬局、デイサービス、兄弟や長男夫婦を交えた会議を何度も行いました。

Mさんの不穏の要因は何か、何が今大切なのかを話し合い、「服薬の管理とインスリン注射を徹底していこう」と決め、曜日ごとに薬、インシュリン担当を明確にしていきました。
それから6か月が経過し、Mさんは見違えるほどに穏やかな笑顔を取り戻し、他者との交流も楽しんで参加できるようになりました。その後、同居されている長男夫婦が自営業で多忙であること、また本人の希望でもあり施設入所が決定しました。
今では週末に長男が迎えに行き、自宅に外泊して過ごすなど家族との関係も良好となっています。家族も含めてMさんを支えるチームとして、生活の課題を共有化し、協力してその達成に取り組んだことで、Mさんらしい暮らしが実現できました。

本来の穏やかなMさんに出会えたことはケアマネジャーを担当させていただいて良かったと思えた一瞬でした。
この事例から、認知症のMさんへの支援を粘り強く取り組んでくれた介護スタッフの専門性への信頼、医療と介護の連携の大切さを感じることが出来ました。