寄り添うこと・・・(46)

~高齢者の自立支援に欠かせない住まいづくり~

同居の家族を亡くし、身寄りのないAさん(男性)。まもなく80歳を迎えます。壮年期に病気で退職し、アルバイトをしながら生活してきました。現在も内科・外科の薬が欠かせません。足が悪いため通院は介助が必要です。買い物に行けないためヘルパーの支援を受けています。医療、介護費用、家賃を支払うと生活費がどうしても足りなくなり、生活保護制度を利用し、なんとか一人暮らしを続けています。

昨年、Aさんからアパートの契約更新について「保証人を頼める人がいない。」と相談がありました。高齢で病気のため転居は身体的・経済的に大きな負担です。今回は大家さんや生活保護のケースワーカーと相談し、保証人なしでアパートの契約更新ができることになり、ひと安心したAさんですが、「次も保証人を頼めなかったらどうしたらよいか。」と不安を抱えたままです。

現在、70歳以上の高齢者の約2割の方が持ち家以外に居住していると言われています。国が推進する「地域包括ケアシステム」で高齢者の住まい確保を担うのはサービス付き高齢者住宅等の有料高齢者施設とされており、月額利用料16万~20万は必要です。それ以外に医療、介護サービスを利用する場合は一部負担金も必要です。平成25年度の年金平均受給額は国民年金54,544円、厚生年金145,596円です(厚生労働省)。高齢者が住み慣れた地域で生活するためには年金制度の改善とともに低年金でも利用可能な高齢者住宅の整備が求められています。

高齢者をはじめ国民の生活を支えることは国や自治体の大切な仕事です。来年4月は京都府知事選挙が実施されます。誰もが安心して住み続けられる地域づくりを考える機会となるように期待しています。