寄り添うこと・・・(73)

国家の責任なき社会保障を変える力に

今後の社会保障制度改革の方向性を議論している政府の全世代型社会保障検討会議。
膨らみ続ける給付費や現役世代の保険料の抑制を理由に、財務省や経済界、被用者保険の保険者、連合などが高齢者の自己負担の引き上げを迫っています。「受診時定額負担」を新たに徴収する案に加え、現行で原則1割の75歳以上の医療費の自己負担を、段階的に原則2割にしていく案等が出されています。

「受診時定額負担」とは、決まった額を窓口で一律に上乗せして請求するものです。今その金額は100円に設定して議論されていますが、100円を200円、500円と財源の不足を理由に、負担額を増やしていくことになるでしょう。日本医師会や日本歯科医師会、日本薬剤師会は「高齢者の受診控えが生じ、結果として重症化に繋がることは逆に医療、介護の費用を増幅するリスクがある」と指摘し、反対の意を表明しています。

気づかぬところで医療・介護・福祉への切り詰め論は進んでいます。ケアマネジャーとして、担当する方々の命の平等、生活の厳しさとしっかりと向き合い、社会保障のあるべき姿を発信していく必要があると痛感しています。政府は年内に議論の取りまとめを行う予定ですが、私たちの国民の声を無視することは出来ないと思います。

秋の保津峡