訪問看護に花は咲く35

201606-1北区の町を歩いているとお一人で散歩をされているご高齢の方をよく見かけます。
何気ない日常の一場面に見えますが、わたしたち看護師は「一人で大丈夫かな?道に迷って困ってらっしゃらないかな」と常にアンテナを張っています。
町の中には認知症の方もいらっしゃる可能性があるためです。

そんな今日、コンビニエンスストアの前で一人の女性の方が右に進んだり左に進んだりと、道に迷っているかのような素振りをされていました。
推定年齢はおそらく80~90歳代。「もしかして道がわからなくなってしまったのでは・・・」今にも雨が降りそうな曇り空だったのでとても心配になりました。
そんなときサッとかけよってきた若い女性。「大丈夫ですか?」と声をかけ、手を差し伸べている姿が見られました。よーく見るとその若い女性は、私たちのステーションのスタッフでした。
私は思わず「(さすがだなぁ)」と感じました。
人に声をかけること。簡単のようですがとても勇気がいることだと思います。
「あの人気になるけど、声までかけるのはちょっと…」、「もしかしたら困ってはらへんかもしれへんし」実際には困ってない方もいらっしゃるかもしれません。
ですがその声かけで救われる方も必ずいらっしゃるのではないかと思います。

少しの勇気をだして、近隣の方へ「どうされましたか?」のその一言が地域を”見守る・支える”大きな力になると感じました。

訪問看護に花は咲く34

~ご近所の底力~

05houmon私たちの訪問看護ステーションは京都市北区にあり、賀茂川沿いの街道を訪問先に向かってバイクで移動することがあります。

冬の寒い朝、Mさんが賀茂街道を散歩しておられるのを見つけました。Mさんは賀茂川の近くにお住まいです。昨年奥様を亡くされ、今は一人で暮らしておられます。週1回の訪問では、一人暮らしに不自由なことや困っていることはないか、体調はどうかなどの確認をします。

「Mさん、おはようございます」「はて?あんた、誰やったかいな~?」「血圧を測りに来ている看護師ですよ」「そうやった、そうやった。ちょうどよかった。たまたま家におったんや」

毎回こんなやりとりで始まるMさんの訪問ですが、時々留守のことがあります。賀茂街道を歩いておられることもあるので探しに行ったり、再度訪問し直したりするのですが、そんな私の姿を見かけるとお隣の方や民生委員さんなどが声をかけて下さいます。

「最近は出町柳まで散歩に行ってはる」など近況を教えて下さり「道に迷わはることは今のところないみたい」と気にかけて下さっています。

年齢を重ね介護が必要になった時、このまま住み慣れた家や地域で暮らし続けることができるのかどうか・・・誰もが直面する現実です。Mさんには訪問看護以外にもケアマネージャーやデイサービスのスタッフが関わっています。しかしこれらの専門スタッフよりも頼りになるのは昔からの顔なじみのご近所の方々。いつも目配り、気配りでMさんを支えて下さっています。Mさんの生活を見守り、「住み慣れた家で暮らさはるのが一番ええと思いますよ」と。

そんな一言に胸が熱くなり、「ご近所の底力」に頭が下がります。これからも地域での見守り、よろしくお願いします!

訪問看護に花は咲く33

今回ご紹介するのは、北区にお住まいのTさんです。

50年間ホテルマンとして仕事を続けてこられたTさんは、とても素敵な紳士です。70歳の時に、奥様の体調が悪くなり、仕事を退職され、家事全般を担われるようになりました。

私たちは、徐々に病状が進行する奥様の訪問看護に入るようになり、献身的なTさんの姿を見てきました。食事も手作りで奥様思いのTさん。そんなTさんも、数多くの病気を持っておられます。一度入院された事をきっかけに、Tさんにも訪問看護が入るようになりました。ご自分の体調が悪い中、睡眠時間を削ってでも、奥様の事を最優先にされるTさん。困っている事が無いかと、身体の負担のないようにとサービスを勧めても、「大丈夫です。これくらいはできます。」といつも気丈にされていました。

奥様の介護をされるようになって、20年が経過した2015年10月、奥様が入院されることになりました。そして、「病院で、自分がくるのを待っているから…」と毎日欠かさず(受診の日や用事があっても)面会に行かれています。奥様は、Tさんの顔をみると、とてもほっとした優しい表情になるそうです。「声は出にくくなったけど、顔の表情でわかる。」と言われます。「唇が荒れているから、リップを塗ってあげる」「手が冷たいから、さすったりマッサージをしたりする」と病院での奥様のことを教えてくださいます。

そんな奥様のことを話されているTさんの表情もまた、穏やかで優しいのです。お互いを必要とされていることが滲み出ている素敵なご夫婦です。私たちは、訪問看護師としても、ひとりの人間としても、Tさん夫婦からたくさん教えていただきました。まだまだ続く介護生活、無理のないように私たち訪問看護にもサポートさせてくださいね。

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