9月半ばを過ぎ、ようやく涼しい秋の空気になりました。この夏の厳しい暑さがいつまで続くのかと心配しましたが、「暑さ、寒さも彼岸まで」とはよく言ったものですね。
今回は北区にお住まいの70歳後半の「要支援」の男性のお話です。毎日ショッピングモールに出掛け、映画を観たり近くの商店街を散歩して帰ってこられます。Aさんの頼もしいパートナーは「敬老乗車証」。バスを乗り継ぎショッピングモールまで行くそうです。タクシーを使っておられたこともありましたが、「ケアマネジャーが手続きしてくれた」と喜んでおられます。「家にばかり閉じこもっていたら老ける」と言うのが口ぐせで、外出先で今の流行をリサーチし、気持ちを若く保つようにしているそうです。
一年ほど前、外出先で転倒し左肩を打撲したことをきっかけに寝たきりに近い状態だったAさん。訪問看護師やヘルパーと一緒に近所に買い物に行けるまでに回復し、今年の9月からヘルパーの支援は卒業することになりました。
訪問看護師は「要介護」だけでなく「要支援」の利用者にも介護予防訪問看護を行っています。Aさんのように「一人で出かけられる人に訪問看護が必要なの?」と思われるかもしれません。日々の生活は何でも自分でできていますが、定期的に受診ができて薬が飲めているか、食事や栄養がきちんと摂れているか、飲酒量が増えていないか、色々な人と交流ができているか、歩く力が衰えていないかなど専門的な視点で確認します。そして気になる事があれば主治医やケアマネジャーと相談し、Aさんがこれからも自分らしく過ごしていけるよう考え支援します。日本の健康年齢も80歳に近づいています。少しでも長い期間、元気で自立した生活を送る事を目指して頑張りましょう!
災害看護学会に行ってきました
先月に続き、災害の話題です。
8月10~11日、神戸国際会議場で開催された「災害看護学会第20回年次集会」に参加しました。
関西でも6月18日に大阪府北部を震源とする地震、7月は大雨で避難勧告が発令されるなど、災害が身近に迫ってきています。
学会の中で「避難所のゴミを利用した生活改善の可能性を体験してみませんか?―使用済みペットボトル等の再利用方法の提案―」と言うワークショップに参加しました。
避難所では水分補給のため一人当たり3本のペットボトルが支給されます。
体育館のような規模の避難所では、約500人避難してくるそうです。
と言うことは毎日1500本ほどのペットボトルがごみとして出てくる計算です。
使用済みペットボトルが再利用されたら、ごみも減り一石二鳥です。
避難所の光景でよく目にするのは、段ボールの間仕切りです。
ペットボトルのパーテーション類は安易に形を変えられる、軽い、不要になったら解体し、別のものに再利用できます。
ワークショップでは実際に参加者みんなでラップの芯やペットボトルで、パーテーションや椅子、
簡易ハンガーかけを作成しました。
初めて会った方ばかりでしたが同じ看護職、一致団結し作業にあたり、指導員さんもびっくりの簡易テントができました。
ラップの芯やペットボトルなど、家にあるものを再利用できるので、在宅でも活用できるヒントがいっぱいでした。
災害現場で使用する日が来ないのが一番ですが、知識を持っていくことは必要だと感じました。
災害に備えましょう
~日ごろのちょっとした知恵や工夫で!~
最近、日本各地で災害が起こり甚大な被害をもたらしています。
京都も地震や水害があり、どうしたら災害に備えることができるのか?
皆様お困りではありませんか?
そんな災害に備えて普段の生活の中でできる工夫を紹介します。
- 窓掃除のついでに、飛散防止フィルムを貼る。
- 掃除のときに人手があれば、家具が倒れてきても大丈夫な場所に家具を移動する。ついでに固定器具を取り付ける。
- スーパーで買い物をするついでに、災害用の飲料水や食料を買う。
「家庭内流通備蓄」という方法も!
ふだんの食糧品の中で保存できるもの(レトルト食品や缶詰など)を多めに買っておき、日常生活で消費したらその分を補充する「家庭内流通備蓄」を行なえば、自然に備蓄ができます。特別に災害用の食糧を確保しておくのではなく、食べながら補充するので賞味期限が切れてしまう心配もありません。
- ハザードマップを準備する。
ハザードマップとは…自然災害による被害を予測し、その被害範囲や危険度を地図にまとめたもの
- 防災グッズを準備する(家庭にあるリュックサックの中に)
・電池不要の手動充電式LEDライト(なければ懐中電灯)
・濡れティッシュ ・常用の薬と薬手帳 ・タオル ・着替え
・ラジオ ・歯ブラシ ・トイレットペーパー ・ゴミ袋
・ビニール袋 ・雨具 ・軍手 ・予備電池 ・飲み水
・アルミブランケット ・携帯の簡易充電器 ・缶詰
・家族写真 など…
- 寝室に、寝ていてもすぐに履けるように靴を置いておく。
(地震に備える場合…地震被災者の方の経験から…)
災害はいつ発生するかわかりません!
- ハザードマップを確認する
自治体で作成しており、自分が住んでいる地域がどれくらい揺れるのか、火災の延焼危険度、液状化・津波・土砂災害・洪水などの危険度がわかります。
- 行動を決めておく
どこに避難すれば安全か。災害が起きたときの、とっさの判断は難しいものです。事前に建物の耐震性や二次災害の危険が高い場所を調べておくことで、すばやく安全な場所へ避難できます。
家族マニュアルを作成する
- 集合場所・時間は具体的に
確実に家族と会えるように、家族の間で具体的な待ち合わせ場所や時間を決めておきましょう。
たとえば…○○学校のジャングルジムの前に集合。朝9時、または午後3時のどちらかの時間になど詳しく決めておきます。
- 連絡手段は複数決めておく
携帯電話ひとつに頼ってはいけません。
NTTの災害用伝言ダイヤル171、携帯電話各社の災害用伝言板、Facebook、Twitterなどさまざまなツールでの連絡を!
(家族間はグループLINEがつながりやすく便利だったという災害経験者の方からの情報もあります。)
家族の携帯番号やSNSのログイン情報も書き記しておけば、携帯電話が使えなくなったときも安心です。
携帯の簡易充電器があると便利です。
災害時のことを予測し、それに対してしっかり対策を行うことで、被害を最小限にとどめられます。災害に対する備えは「そのうちやろう…」とつい後回しにしがちですが、「あのときやっておけばよかった」と後悔する前に、ぜひできることから始めてみてください。