訪問看護に花は咲く32

20160301先日、認知症による行方不明者捜索のための徘徊模擬訓練に参加しました。
行方不明者が出たとの想定でいなくなった方の写真が配布され、グループで地域を捜索し見かけたら声掛けをするといったものでした。

声掛けのポイントはびっくりされないように、○○さんですか、これからどこへ行かれるんですか、よかったら一緒に行きましょうか、○○さんが外出なさったことをご家族の方はご存知ですか、などと前もって皆で学習しましたがいざ本番となるとぎこちなくなります。また写真を渡されていたのですが、面識のない方だったので、本当にこの方かな?とわかりにくかったりしました。

認知症になっても住み慣れた地域で暮らし続けるためには顔見知りのご近所の人の存在が非常に重要です。認知症であることをあまりご近所の方には言いにくいかもしれませんが事情を話しておくと居場所を伝えてくれたり、一緒に連れて帰ってくれたり協力して頂けるかもしれません。

認知症の人が外へ出て歩き続けたり交通機関を利用するなどして遠方まで行ってしまい行方が分からなくなるケースが増えています。これらを未然に防ぐためにはご近所づきあいが大切だなあと思いました。

訪問看護に花は咲く31

ume2梅がちらほらと咲き始め一足早い春の訪れを感じます。
まだまだこの時期の訪問看護の挨拶は「寒いですね」で始まりますが、寒さを乗り切るためにあったかグッズをたくさん身に着け、着ぶくれしながら頑張っています。


今回、ご紹介するのは北区にお住いのAさんご夫婦との一コマです。
体調管理とリハビリのために訪問看護を利用されるようになりました。「こんにちは」と玄関を開けると、奥から「いらっしゃーい。入ってー」と奥様の元気な声が聞こえてきます。中に入ると「ゆっくりしていき」とAさん。いつもあたたかい笑顔で迎えてくださいます。血圧などを測り終え、大宮交通公園付近に散歩へ行きます。
Aさんは散歩をしながら、色々なことを話してくださいます。大宮交通公園に保存してある京都市電の歴史、京都につながる街道のこと、小さい時に鴨川が増水した翌日、土手にできた水たまりにあがった魚をとっていたことなど、私の知らない昔の京都のことを沢山教えてくださり楽しいひと時です。
つい先日は、お正月明けに訪問に行くと、「今日は訪問の日やったかな」といつもよりさらに笑顔のAさん。実は少しお酒をたしなんでおられ、上機嫌でした。奥様も「この人は飲んだらご機嫌さんなん」と言われていました。そして、いつもより饒舌なAさんが突然「いつもありがとう。来てくれると嬉しい。○○さんの人徳だね」と言われました。その言葉に、励ましてもらったような気持ちになりとっても嬉しく思いました。
Aさんは現在、当初の目標である、歩けるようになるという目標を達成し、訪問看護の契約は終了となりましたが、事業所から家が近くなため、バイクで走っているとお会いすることがあり、いつもの笑顔で「頑張りや」と声をかけてくださいます。ご夫婦がいつまでも元気にお家で暮らせるように祈るばかりです。

訪問看護師になって9か月が経とうとしています。
この9カ月で約60人以上の方との出会いがありました。
利用者様、家族様との関わりで、勉強になることがたくさんあり、またこちらが励ましてもらったり、元気を頂くことがあります。信頼してくださっている分、気が引き締まる思いです。
この信頼を持ち続けてもらえるようさらに、誠意をもって看護をしていきたいと思っています。

訪問看護に花は咲く30

c-16-2寒さも本番を迎え過ごしにくい日々が続いていますが、2016年もスタッフ11人で元気にがんばっています。
私が看護師になりたての頃、初めて勤めた場所は病院でした。現在も現役で看護師をしている母に憧れ、「素敵な看護師になりたい」とキラキラした気持ちで入職したことを今でもよく覚えています。

しかし、病院での仕事は私が思い描いていたものとは違いました。鳴り止まないナースコールに追われ、毎日終わらない残業と睨めっこをし、忙しい日々に少しずつ身体は疲れていきました。時間に余裕がなくなると必然的に心にも余裕がなくなり、患者さんから呼び止められたとき「ちょっと待って下さいね」が、気づけば私の口癖になっていました。
わたしは目指していた「素敵な看護師」になれているのだろうか?しっかり患者さんと向き合えているのだろうか?そう自分に問いかけたとき、胸を張ることができませんでした。

病棟勤務・施設勤務・出産後育児休暇を経て、当訪問看護ステーションで働くことになりました。働き始めて感じたことは“利用者さんとの距離が近い“ことでした。訪問ができる曜日や時間は限られていますが、短い30分でも利用者さんの目を見て、触れて、ゆっくりお話できる、病棟ではできなかった「1対1の看護」ができる嬉しさを感じました。ある利用者さんの背中のマッサージをしていたとき、「この瞬間が1週間のうちで1番楽しみ」と言われ、「あっ。こんな私でも、少しでも役に立ているのかな・・・」となんとも言えないやりがいを感じました。

訪問看護師歴は半年と少しとまだまだ経験は浅いですが、わたしが来ることを「いつも楽しみにしてるで」と待ってて下さる利用者さんの存在が、わたしの元気の源になっています。これからもひとりひとりの利用者さんと向き合いながら、一生懸命がんばりたいと思います。