訪問看護に花が咲く9

2014-5n-1Nさんは娘さんとお二人暮らしの女性です。
娘さんはお仕事に行っておられるので、Nさんは日中お一人です。
でもNさんは「寂しくないよ」と言われます。
なぜならNさんのお宅にはたくさんの猫が一緒にいるのです。

ある寒い冬の日、いつものようにお宅に伺いました。2014-5n-3
「こんにちは」と声をかけると、にっこり笑っているNさんの胸元の布団が膨らんでいます。
なんだろうと思いながら布団をめくると、Nさんの胸元にぴったりくっついてスヤスヤ寝息を立てている1匹の猫ちゃんが。
Nさんも子どものように猫ちゃんをなでています。
「重くないですか?」と聞くと
「重いけど、仕方ないね」と笑っていますが、お顔は嬉しそうです。

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Nさんは長いこと入院されており、数ヶ月前にご自宅に戻ってこられました。
「(入院中は)家に帰りたかった。よくしてくれるけど猫はいないから…」
帰ってきた当初はすぐ横になりたがったNさですが、今ではリハビリの先生と外歩きまでできるようになりました。
訪問看護の時は長いこと座っています。
「寝ていたら下にいる猫が見えない」と言っています。

在宅生活を支えるのは、ご家族様や私たち医療・介護スタッフだけでなく、何も言わずに(ニャーとは言いますが)じっと寄り添ってくれる動物たちの存在は計り知れないものだと感じました。

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訪問看護に花が咲く8

201404今回ご紹介するのは奥様、ご長男と3人暮らしのYさん、男性です。
ご長男は朝早くから夜までお仕事をされており、日中はほとんど奥様とお二人でお過ごしです。そして、週3回の透析治療も受けておられ、デイサービスにも週1回通所されています。

訪問看護中のケアの傍ら、現役時代のことを尋ねると、
「チンバタや。」
「チンバタ、ってなんですか?」
「賃金もろて機(はた)織るやつや。」
「チンバタは初めて聞きました。お仕事、忙しかったでしょうね。」
「そうや。」
と普段は穏やかで、寡黙な印象のYさんですが、その時はたくさんお話しして下さり、普段見られない一面を見せてもらうことが出来ました。ご夫婦で、西陣織の仕事をされていたそうです。

奥様も送迎で受診されており、介護が必要な状態ですが、ご長男が用意した昼食のご飯を、Yさんが少しでも食べやすいようにと、小さくかわいいおにぎりにされています。私たち訪問看護師にも、「大変な仕事やなあ」「おおきに、ありがとう、ありがとう」と温かい言葉をいつもかけて下さいます。

そんなYさん宅にお邪魔すると、ご家族の絆の強さを実感するとともに、いつもこちらまでほっこりと温かい気持ちになるのです。
Yさん、ご家族様、いつもありがとうございます。これからも宜しくお願いしますね。

*Yさんは要介護5 週2回の訪問看護で病状観察と朝の薬が飲めているかの確認と浣腸などをしています。

訪問看護に花が咲く7

今回ご紹介するのは60歳台の男性Sさんです。バスや電車には1人で乗れますが、視力障害があり、病状の観察や爪切りに入らせて頂いています。
訪問看護が開始になった頃は同じ事を聞いたり聞き直すと、怖い顔でよく怒鳴られて震え上がっていました。でも、訪問を重ねるごとに、色々とお話をして下さり、お互いを理解できるようになってきました。
Sさんは東日本大震災の時はボランティアに行かれ、その後も毎年行かれています。また、手足のしびれがあり入浴目的でデイサービスに通われていますが、デイサービスではムードメーカー役として親子ほど年齢が離れた利用者さんを、スタッフと一緒になって楽しませて下さり、ボランティア精神にあふれた心の優しい方です。
今でも、時々どなられる事がありますが、そのまなざしの奥の心優しさを知っています。
今回、その方の新たな才能を知ることとなり、皆様にもご紹介させて頂きます。

*要支援2 月2回の訪問看護30分 週2回のホームヘルパーさんによる家事援助と週2回のデイサービスを利用されています。