寄り添うこと・・・(9)

消費税があがって・・

201405-2つい先日のこと、高3の長女が「324円頂戴な」と言うので何のことかと思いきや、「100円のパンを3個と消費税が24円」とのこと。当然のことながら100円のパンにも1個あたり8円の消費税がついて回ります。子供にとっても消費税24円の自腹はばかにならない金額だったのでしょうが、積もり積もっていく消費税の重さに不安は広がる一方です。


今、国会で医療・介護総合法案が

それとあわせて今国会で「医療・介護総合法案」が審議されており、参議院で可決されると来年から実施されることになります。医療保険制度と介護保険制度がからみあった大改悪です。病院はより一層患者の早期退院を迫ることになり、在宅で重度の方を24時間介護する。そのシステム作りのために、まずは軽度者(要支援認定を受けた方)の予防給付を地方自治体に肩代わりさせて大幅な予算削減を計画しています。201405-3私たちが関わる要介護認定を受けている方々にも関係があります。
特別養護老人ホームへの入所基準を原則「要介護3以上」に限定する、一定所得以上の人(年収280万)の介護サービス利用料を2割負担にする、ショートステイや施設入所の際に食事代や部屋代が減額される制度に資産を勘案する(単身で1000万円の預貯金があれば対象外)などです。負担は増え続け、行く先の見通しが立たず、不安が広がっていきます。

法案の内容を知らせましょう!そして声を上げていきましょう!

残念ながらまだまだその内容が知らされていません。私たちケアマネジャーも利用者やその家族、地域の方々に署名を集めて内容を伝えてきました。今は衆議院と参議院に抗議のFAXを送り続けています。黙っていてはやりたい放題の政治を助長することになると思います。消費税も介護保険も年金も医療保険も、私たちの命と暮らしに直接つながるものです。6月の採択までまだ時間はあります。諦めずに、ぜひ声をあげていきましょう!

寄り添うこと・・・(8)

94歳、頑張っています

b501今年のお誕生日で94歳になられる男性のAさんです。
昨年の9月に以前からの腰の痛みで動けなくなり、病院に救急搬送され腰の手術をされて11月に退院。奥様との二人暮らし。ご本人は両足に痺れが残り、歩くとフワフワ感がありましたが、室内の伝い歩き、近所の杖歩行と除々に足に筋力をつけ、今はリハビリ目的にデイサービスを週1回利用されています。また若い時から祇園祭りの鉾町の役員をされており、今も週に1回は市バスに乗って四条烏丸まで会議や打ち合わせに行かれ、忙しく元気な毎日を送っておられます。
ついつい大事にしすぎて外出を軽減される方が多いですが、93歳で腰の手術をされた後も、生きがいと目標を持ってリハビリをされる姿は素晴らしく、『見習らわないと』と思います。そのAさんから「今年の祇園祭りの山鉾巡行が今年から後祭り山鉾巡行が復活します。7月17日(さき祭り)と7月24日(あと祭り)の二日になります。」と聞きました。ぜひ行ってみようと思います。

寄り添うこと・・・(7)

私がケアマネジャーになって2ヶ月目に、Iさんと初めてお会いしました。前任のケアマネジャーから引継ぎの同行訪問でした。リビングのイスに、Iさんは穏やかな表情で座っておられました。認知症進行のため、こちらの問いに答えることはありませんでしたが、一緒にいた長女さんの認識だけはしっかりされている様子でした。

Iさんは妻と二人暮らしで、お子さんが二人。同居の妻が入院し、認知症の父を放ってはおけないと、日中は長女さんが見守りし、夜は毎日長男さんが泊まりに来られていました。今まで、デイサービスの利用を何度も試みていましたが、外へ出ることに強い拒否があり実現出来ず、いわゆる閉じ篭り状態。ご家族の介護疲れはすでに限界でした。

初回訪問の時、ご家族から施設入所の意向は聞いていました。が、実現に向けてまずは一歩外へ出ることからと、入浴介助で関わっていた訪問看護に、近所までの外出援助も支援してもらうことになりました。ご家族以外の認識が難しいため、介助に対し強い拒否が出ることもありました。外出への道のりは長いものと、誰もが覚悟していたと思います。が、外出支援を開始した直後、「外に出られたよ~!」と長女さん、看護師さん両方から報告がありました。「○○食べに行こうか?」の声かけに、「おお、行こうか。」とすぐに応じられたのです。近所までの外出が、あっと言う間に実現できました。

その後Iさんは度々外出ができるようになり、今度は長女さんとドライブへ行こうと計画していました。その頃はクリスマスで、年の瀬に近づいていました。Iさんの突然の訃報を聞いたのは、それから数日後のことでした。「私が作ったご飯を全部完食してからお父さんは逝った。それが本当にうれしい。最後に私が作ったご飯を食べてくれたことが…」長女さんから聞いた言葉です。

ケアマネジャーになって初めて、担当した方が亡くなりました。自分はこの方に寄り添うことができていたのかと、ふり返ります。重い認知症でも、楽しい所になら行きたい、美味しい物は食べたいといった当たり前の感情は残っています。拒否があれば、その原因は必ずあるのだけど、原因を考える前に認知症だから仕方が無いという思いが、自分にはあったのではないか、認知症状にとらわれ、Iさんという人格と関わろうとしていなかったのではないかと思いました。これからもケアマネジャーを続けるにあたり、今のこの気持ちはきっと、忘れてはならないのだと思っています。