訪問看護に花は咲く23

k7-1私が訪問看護に異動して、もうすぐ4年になろうとしています。
それまでは、病棟でしか働いた事がなく訪問看護がどういうものなのかはもちろん、在宅で療養されている方の気持ちに触れる機会もありませんでした。
そんな私ですが、たくさんの利用者さんや家族との関りを通して、疾患を抱えながらも、病院ではなく在宅で療養を希望される利用者と家族の気持ちに触れ、少しずつわかる様になってきました。

私事ですが、先日、急遽入院しなければならなくなり入院したのですが、色んな不安や心配、寂しさもあり、家に帰りたくて帰りたくて。泣いていました(笑)その時に、在宅で療養されている利用者さんが、病状変化時「入院は嫌や、家にいたい」といわれる気持ちが自分の身をもってわかりました。病院では、生活よりも治療が優先されるので、家みたいに自分の心地いいスペースや自分のペースで過ごす事ができなかったり。好きな時にテレビも見れないし(笑)やっぱり、家がいいなあ。家で心地よく療養する事が、治療によい結果をもたらす事もあると思います。

普段、利用者さんの思いを傾聴し共感しケアする事を心がけていますが、やはり自分が経験してこそわかる事が多々あります。今回の経験から、利用者さんが安心して在宅で生活できる様に、今まで以上に全力でサポートしていける様に今後もがんばります。

訪問看護に花は咲く22

今回は利用者様のことではありません。私事ですが遠く離れて暮らす親が今週、手術を受けることになりました。

7年前に腎がんを患い片方の腎臓を取り出す手術をうけました。その後は何度か膀胱がんを再発し、その都度内視鏡で手術を受けています。しかし今回はその手術ではなく腹部大動脈瘤の手術です。動脈瘤が大きくなってくると破裂の恐れがあるので手術をしなければならないのですが、先日の検査の結果で手術の適応だと先生に告げられました。先生曰く「手術の前に肺の状態が悪いので、治療してからですねえ」と。喫煙がやめられず息切れしていましたが、吸入などで治療をした結果改善し、手術を受けることが出来るようになりました。

それでも息切れをしながら電話をかけてこられると気が気ではありません。「心配かけてすまん」と言いますがタバコをやめるように言っても頑固な性格上、不摂生(本人は不摂生とは思っていない)は治るわけはなく、遠距離ということもあって一層もどかしさを感じます。

私たちが訪問している利用者様のご家族も遠距離の介護をしておられる方があります。利用者様の体調が変化したり、相談が必要な時にはご家族へ電話やファックスで伝えるようにしています。先日ご家族が「私が帰った後もよろしくお願いします」と言っておられましたが、そのご家族の心配が少しでも和らぎ、安心していただけるように「頑張らなくては」と痛切に思うのです。

訪問看護に花は咲く21

k1今回ご紹介するのは、Iさんご夫婦です。
最初は、20年程前から入退院を繰り返されている奥様の訪問看護に入っていました。奥様の代わりに家事全般をしてこられたIさんは、とても穏やかでいつもニコニコと笑顔で迎えてくださっています。

 昔は構造美術をされており、帯の図案家であったIさん。警察犬のシェパードも飼われていたことがあり、その頃からのかかわりのある方に、今でも慕われておられます。来客も多く、いつも「みんなええ人ばっかりで、よーしてくれはるんや。」とおっしゃいます。奥様の弟様も毎週土曜日に買い物のお手伝いに来てくださっています。
そんなIさんが転倒されたことをきっかけに動けなくなり、病状観察と入浴介助の目的で訪問看護が開始になりました。そのため、奥様が少しずつ気をつけながら何とか家事をされるようになっています。
お互いを思いやり、助け合いながら生活をされるようになり、Iさんも家事を少しずつされるまでに回復されています。

 お風呂の中では戦争中のことをよくお話してくださり、少年兵のことを思い出しては涙ぐまれています。繊細で心優しいIさんと朗らかでお話し好きな奥様に私たちの方が癒されほっこりした暖かい気持ちになるのです。
 お互いを支え合いながら前向きに過ごされているIさんご夫婦。
これからも仲良く自宅で穏やかに過ごして頂ける様に、少しでもお手伝いできればと思っています。