寄り添うこと・・・(24)

利用料金が2割負担に

・高齢ご夫婦で、妻は要介護⑤ほぼ寝たきり状態。日常生活のすべてに介助が必要で24時間妻に寄り添って介護に専念されています。ご自身は、要介護②で全身の筋肉が硬くなり痛みを伴う病気があり、10メートル歩行がやっとな状況で、出かける度にタクシーを利用して買い物や受診をされています。

7月に届いた介護負担割合が2割(ご主人)との通知直後に「介護サービス全てを中止します」とケアマネージャーに連絡が入りました。
ご主人のサービス内容は、毎週の訪問看護と全身の筋肉痛や両上肢の挙上困難が改善するようにと、やっと半年前に週2回訪問リハビリを開始され、最近では手が上がるようになりうな垂れていた頭も正面を向いて会話できるまでに回復していた所でした。
細かい観察で、余病を起こさないように快適な温度・湿度調節や食事の管理及び専門医の受診介助など、ほんとうに妻を中心とした日常生活を送っておられます。

自分の事は後回しで良いです。まだまだ妻に「お金がかかりますので・・・」と介護サービスを断わられました。

補足給付が受けられない

・40代で半身麻痺となった夫を定年退職まで就労され、現在は介護に専念されている60歳代の妻は、介護負担を感じていても、ショート利用を嫌がる夫の気持ちを優先し、昨年まで利用される事がありませんでした。母親の介護疲労を痛感している別居の娘に説得されて今年より、ショートステイを利用されるようになった矢先に、補足給付の申請をお願いした所「通帳のコピー」が必要なんて!人権を無視されたように思うし、娘と相談し「そこまでしてまで利用しなくて良い!と娘も言うので今後はショートステイの利用はしません」と連絡がケアマネージャにありました。
※2例ともに今後の介護負担を思うとやりきれない思いになりました。介護サービスの利用があって在宅生活が成り立つケースであり、障害者家族・高齢者家族の社会保障制度の削減は、許すことが出来ません。

寄り添うこと・・・(23)

『 個別機能訓練って何?? 』

2015年4月の介護報酬改定により、デイサービスの基本報酬が変わりました。通常規模のデイサービスでマイナス4.9%、小規模ではマイナス9.3%と、運営に影響が及ぶ程の減額です。今改定により新設された加算項目は、認知症高齢者の積極的な受入れを評価する認知症加算が60単位/日、中重度者の受入れを評価する中重度者ケア体制加算が45単位/日。個別機能訓練加算は、(Ⅰ)が46単位/日、(Ⅱ)が56単位/日に設定されました。デイサービスを続けるため、どの事業所も各加算を積極的に取得しています。

その中でも今回は、個別機能訓練に触れたいと思います。

「訓練」だなんて、堅苦しい…と、思われるかもしれませんが、リハビリの様に身体機能そのものの回復を目的とする訓練ではありません。その方の身体状況や生活状況を把握し、自宅で可能な限り自立して暮らし続けることを目的とする訓練です。利用者さんがこれからも今と同じ生活を続けるために、ケアマネジャー、デイサービス、他のサービス事業所など、チームでニーズ(食器洗いを手伝ったり、転倒せずにトイレへ行けたり、植木の世話をしたり…)をとらえて方向性を共有します。

個別機能訓練を通して、生活の楽しみや、自分の役割を見つけることが出来るとしたら、素晴らしいことです。あなたが生活の中で大切にしていることは何ですか?それを一緒にみつけましょう!

寄り添うこと・・・(22)

~リハビリテーションの卒業?!~

介護サービスの報酬で通所リハビリは・・・

2015年度の介護報酬の改定は、全体で2.27%の引き下げでした。介護はもうかっていると思っている方も多くおられると思いますが、とりわけ引き下げ幅の大きいデイサービス(-9%)や小規模多機能(-6.1%)の運営は大変です。一方で報酬が上がったサービスもありました。それが通所リハビリです(+4.4%)。リハビリ部門においては生活期リビリテーション(ICF*)の視点を重視し、一定の期間を定めたリハビリ(卒業)を打ち出しました。

生活期リハビリテーション(ICF)でどう変わるの・・・

みなさんは、訪問リハビリや通所リハビリというサービスを利用したことはありますか?デイサービスとの違いは分かりますか?私たちケアマネジャーが通所リハビリの利用をすすめるときは、下肢の筋力低下が著しく、転倒を繰り返すようになった方、具体的に転倒して骨折した方等を対象としていました。しかしICFの視点では、以下のように変化します。

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生活行為向上リハビリテーションで卒業へ・・・

生活機能の維持・向上を図るために、とりわけ活動と参加に焦点を当てた評価体系を導入しました。それが訪問と通所を組み合わせた生活行為向上リハビリテーションで、概ね6か月間の利用を限度としています。通所訓練と社会参加に重きを置いた訓練を計画的に行うことで、活動と社会における役割や生きがいの早期獲得を目指すというものです。開始月から3か月目までは月2000単位、6か月目までは1000単位という大きな加算がつけられます。
このように通所リハビリは、デイサービスとは明確に違うサービスとして位置付けられ、漫然とリハビリを続けることは難しくなりそうです。生活上の課題を達成することは素晴らしい事です。しかし、加算方式で期間を定めて評価する方法に違和感を感じるのはケアマネジャーだけではないはずです。

*ICFとは:International Classification of Functioning, Disability and Health(国際生活機能分類)の略です。「ICF」は2001 年に制定され、正式名称は「生活機能・障害・健康の国際分類」といいます。障害に関することや、健康に関することなどを、約1,500 の項目(正確には1424 項目)に分類し、それらが複雑に絡み合って相互作用していると考えたものです。